健康重視経営

三井化学グループは、企業グループ理念に従業員の幸福と自己実現を掲げております。そして、「社員の健康は、社員と家族の幸福につながり、働くことの意義や喜びの向上につながり、当社グループの基盤となり、地域社会への貢献となり、社会の持続的発展につながる。」と考えています。その上で、「従業員が健康で働ける職場環境や設備などのハード面と、健康管理・健増進のソフト面を充実させ、労働衛生と健康増進を自律的に行う健康重視経営を推進する」事を目指す姿としています。
当社では、労働衛生に関する基本事項を定めた労働衛生管理に関する社則(労働衛生規則)を制定し、「社員の健康は、会社の健康に直結する」との基本理念に基づき、職業性疾病を予防し、適正な職場環境の形成を促進するとともに、社員の自主的な健康の確保を支援すべく、健康管理を含む労働衛生施策を積極的に展開しています。

三井化学健康重視経営(概念図)

井化学健康重視経営(概念図)

健康管理

健康診断や産業医・保健師などによる保健指導を通じて社員の健康管理のサポートを行っています。
10年以上前から、がん検診受けやすいように、総合健診(定期健康診断に特殊健診、がん検診を融合)を実施しています。(2021年度の受診率は、健診:ほぼ100%、肺がん検診:ほぼ100%、大腸がん検診:82%、胃がん検診:58%、腹部超音波検診:73%、前立腺がん検診:91%、乳がん検診70%、子宮頚がん検診:61%)
がん検診を含めた健診結果は健康管理室で把握し、精密検査が必要とされる場合は、必要な精密検査をきちんと受けるよう状態を説明し、専門医への積極的な受診を促しています。また、精密検査結果についても、本人もしくは、紹介状の返書にて報告を受けています。2021年度は、がん発見の73%程度が検診発見で、発見されたがん全体の65%は根治可能な状態でした。

また、社員の自主的な健康管理や健康意識啓発のため、希望者に対し、胃がんリスク健診を実施していましたが、今年度からは検査方法と希望調査時期を変更し、入社早期にピロリ菌の便抗原検査を行う形に変更いたしました。過去に実施した胃がんリスク検診をきっかけに、ピロリ菌除菌を行った社員や、胃内視鏡検査での胃がん検診を受診する社員が増えました。胃がんリスク検診等を受けた社員は、自身のリスクを把握した上で、各自が希望するタイミング(最短年1回)や方法(内視鏡もしくはバリウムでの検査)で胃がん検診を受診しています。

生活習慣病有所見率、喫煙率

三井化学では社員の健康状態を確認する指標として、2030年度目標を生活習慣病有所見率8.0%以下に定め、生活習慣病の有所見率をモニタリングしています。2021年度は、健康診断の事後指導や保健指導、受診勧奨、オンラインを活用しての健康づくり活動等を行いました。各種活動を行ってきた結果、肥満が減少傾向で、血圧やコレステロールや血糖も改善してきています。引き続き、指導や受診勧奨を強化する予定です。また、新型コロナウイルス感染症防止対策により、在宅勤務や外出自粛と環境下で活動量や運動量が減り、体重が増加したまま減量が上手くいかない社員や筋肉量の減少が疑われる社員が一定数いるため、2021年度も、家でも実施できるオンラインフィットネスや運動を中心とした情報発信を行いながら、アプリを活用した指導やオンラインでの栄養教室、栄養も含めたセミパーソナルな指導を行いました。2022年度も、プログラム内容や方法を工夫し、オンラインの利点を活用しながら情報発信や健康づくり企画の展開等を行う予定です。他にも、転倒防止や高年齢者の身体能力低下を防ぐために、身体能力テストを行ったり、ロコモティブシンドローム情報を社内報に掲載したりしています。若年層から運動習慣を定着化させるための事業所提案の新企画については、全社展開しやすいものは、全社社員が参加できる形で実施しました。2022年度は、全社展開で行う企画数も増え、各事業所での取組みの中で活用できるようになります。

喫煙率は、10年前と比較すると10%以上低下し、徐々に減少しています。受動喫煙防止のための喫煙室の管理や健康管理室を中心とした個人への禁煙サポートは引き続き行いますが、社員の健康を守るために、「2025年度末までに敷地内禁煙・就業時間内禁煙を達成する」ことを目標に、2021度から各事業所で協議しながら取り組みを進めています。

今年度から自身の健診結果やお知らせ等を掲載した個人ポータルサイト(MCIヘルスナビ)を開設しました。各自の健診結果を見られるだけではなく、自分の健診結果や業務歴に基づく情報、過去の検査データ推移が把握できるグラフ、受診勧奨や保健指導の通知等も確認できます。各自が自分の健康情報を管理し、自分にあった健康情報を入手しやすい形にしました。今後は、部署のサイトのみでなく、MCIヘルスナビを活用し、各自の健康意識の醸成をサポートしたいと考えています。

MCIヘルスナビホーム画面:受診勧奨や保健指導の通知
MCIヘルスナビホーム画面 : 受診勧奨や保健指導の通知
過去の検査データ推移
過去の検査データ推移
健診対象作業
健診対象作業

生活習慣病有所見率(三井化学籍男性社員)

生活習慣病有所見率(三井化学籍男性社員)

生活習慣病有所見率については、項目によって男性と女性の基準値が異なるので、男女別に集計しています。当社の場合、男性の比率が高いため、男性の有所見率をKPIとしています。

疾病休業の内訳(三井化学籍社員)

疾病休業の内訳(三井化学籍社員)

仕事と治療の両立支援

産業医を中心として、仕事と治療の両立支援も実施しています。病気の対応に悩んでいる社員、主治医の意図が理解できなかった社員等の相談にのり、必要なアドバイスやサポートを行っています。就業上の配慮が必要な状況であれば、職場、人事等の関係部署とも相談し、対応をとっています。治療等に使える制度も充実してきており、がんに限らず治療をしながら働く社員は珍しくはありません。また、関係情報をまとめ、具体例等を記載した「仕事と治療の両立支援ガイドブック」の内容を更新し、社員が困った際にいつでも見られるように、情報を更新したものを社内掲示板に掲載しています。

「仕事と治療の両立支援ガイドブック」
「仕事と治療の両立支援ガイドブック」

海外勤務者の健康支援

海外事業所へは、本社の産業医が海外を毎年巡回し、海外勤務者の全員(希望するご家族を含む)と健康面接を行い、心身両面から社員を継続的に支援しています。2021年度も型コロナウイルス感染症蔓延にともない、オンラインやメールで面接等を行い、巡回時に行っていたストレス調査の組織結果のフィードバックもオンラインで行いました。感染症関連の情報・健康づくりのための情報提供も継続して行っています。

メンタルヘルスケア対策

メンタルヘルスは社員の健康問題として重要であり、労働生産性にも大きな影響を及ぼします。また、テレワークの浸透や社会環境の変化により、メンタルケアの重要性は増しています。三井化学では、VISION 2030の策定にともない、従来からモニタリングしていた「メンタル不調休業強度率」を経営指標の一つとして定め、2030年度目標をメンタル不調休業強度率0.25と設定しました。各種研修(新入社員・管理社員・ライン管理者など対象、セルフケア研修等)、産業医等による面接、カウンセリングを実施しているほか、ストレス度調査を活用して、職場環境の改善を推進しています。
2021年度は、オンラインにも慣れてきたことやお互いの感染リスク低減の為、ビデオ通話を利用しての面接や相談も増えました。
また、ストレス調査の結果分析により判明した、テレワークによる心身への影響や、テレワーク時における健康管理のポイント等をまとめ、安全衛生委員会や管理社員教育で説明し、イントラにも掲載しました。ストレス調査説明会もオンラインの活用により、多くの社員が参加し、具体的なグッドプラクティスや意見を共有した事業所もあります。

研修、面談、カウンセリング

新入社員(新卒だけでなく、中間採用や嘱託採用も含む)には、研修に加え、コミュニケーションに関するe-ラーニングを入社後一定期間おいて実施しています。さらに、入社後2年間は6ヵ月ごとに産業医等が全員と面接し、生活習慣・体調面・上司や同僚とのコミュニケーション等に関する状況を把握し、必要に応じてアドバイスをしたり、上司を含めて話し合ったりして、新入社員の会社生活への適応を支援しています。新型コロナウイルス感染症の流行以来、面接・カウンセリングも、オンラインや電話等を活用し実施しています。

最近は、様々な個性・特性を持つ人々や病気治療を受けながら働く人を組織に受け入れる風土の醸成を目的としたインクルージョン勉強会も開催しています。

ストレス調査

ストレス調査は、「職業性ストレス簡易調査」だけでなく、職場改善のヒントとなるよう「メンタルヘルス風土調査」を加えた「新職場ストレス度調査」を2011年より全社で実施しており、ほぼ全社員が回答しています。個人に対する結果のフィードバック・フォローだけでなく、職場改善に役立つよう組織結果を各所属長に説明しています。ストレスが高い職場には、所属長や職場メンバーへのヒアリングの実施や、ストレス低減計画(コミュニケーション向上計画)を立案・実行しています。また、メンタルヘルス風土が良好あるいは経時的に改善してきている職場をグッドプラクティスとしてとりあげ、職場代表者の発表資料や、ヒアリング等で抽出した特徴をイントラに掲載し、全社に水平展開しています。
2018年度からは専用のシステムを導入し、個人や所属部署の結果をWeb上で確認できるようにしました。調査結果を積極的に活用する職場も増えてきており、自主的な職場改善のきっかけになっています。その結果、「感覚的なストレスが低く、職場の各種機能が良好」と思われる職場が、2015年度22.1%だったのに対し、2021年度は50.0%に増え、「感覚的なストレスも高く仕組みが機能しているか心配」と判定された職場が8.7%から3.5%に減りました。
人材マネジメントにおいても、リーダーシップ研修等を強化しており、働きやすい職場づくりや職場環境の改善に好影響を与えていると考えています。2021年度は、環境変化にともなうグッドプラクティスを収集しながら、各職場風土改善に活用できるよう取り組んでいきます。

2021年度 新職場ストレス度調査結果(三井化学および契約のある関係会社)

2021年度 新職場ストレス度調査結果(三井化学および契約のある関係会社)

グラフ内の各点は、各職場のポイント(本社は部単位、事業所は課単位)

※1健康総合リスク:
仕事の負担感・コントロール感・上司・同僚の支援感に関する主観的な感覚尺度から算定。
全国平均を100とした相対評価で、120の職場では不調者発生率が20%高いと推測できる。

※2メンタルヘルス風土:
指示系統・労務管理・連携協力・研修機会が適切かどうかの尺度から算定。
全国平均を50とした相対評価で、数値が上がるほど職場の風土がよいと考えられる。

新型コロナウイルス感染症対策と新しい働き方に対する健康支援

新型コロナウイルス感染症対策として、2020年1月より順次以下の取り組みを実施しました。

2020年度
  • 新型インフルエンザ対策として備蓄していた一般マスクを中国関係会社へ送付
  • 新型コロナウイルス対策本部設置
  • 感染防止対策の周知
  • 感染確定者・疑似症例・濃厚接触者が発生した場合の対応マニュアルの整備・周知(工場、社員寮、定期修理時等)
  • 「新型コロナウイルス感染症 対応ハンドブック」整備・周知
  • 基礎疾患を有する社員および妊娠中の社員に対する対応の周知
  • 社長や会長、健康管理室長からのメッセージを配信
  • 健康情報配信開始(月1~2回配信継続中)
  • マスク着用徹底のための社長ポスター作成
  • イベント開催時の感染予防対策検討(現在も継続中)
  • オンラインフィットネス開催開始
  • 新型インフルエンザ対策として備蓄していたN95タイプのマスク等を事業所近郊の医療機関に寄付
2021年度
  • 「テレワークガイドサイト」公開
  • 新型コロナワクチンの職域予防接種(1~3回目接種)
  • 感染防止対策の周知
  • 対応マニュアルの改定・周知
  • 「新型コロナウイルス感染症 対応ハンドブック」更新・周知
  • イベント開催時の感染予防対策検討(現在も継続中)
  • オンラインフィットネス開催継続

健康管理のための様々な実施プログラム

三井化学グループでは、健康管理室や健康保険組合が中心となり、様々な健康づくりプログラムを実施し、社員の健康管理を支援しています。2021年度も、ヘルシーマイレージ合戦、フィットネス教室、禁煙チャレンジ、社員食堂のヘルシーメニュー、健康測定会、体バランス測定会などを実施しました。

ヘルシーマイレージ合戦は、チームもしくは個人で参加し、運動や健康的な生活をポイント(ヘルシーマイル)として貯め、獲得したマイルに応じて賞品を選択できるプログラムです。Webやスマートフォンで実績の入力が可能で、全社員の40%以上、海外の社員も参加しています。また、自分自身の現状を認識した上で各自が健康管理を行いやすいよう、取り組み前に内臓脂肪や体脂肪や体ゆがみ測定等の測定を行うだけでなく、取り組んだ後の効果検証の測定も実施しました。

フィットネス教室

健保補助および健保と共同で実施している項目と内容の例

健康づくりイベント(オンラインフィットネス、運動教室・イベント・栄養教室 等)
特定保健指導(特定健診の結果、特定保健指導の基準に該当した者)
がん検診 胃がん(内視鏡もしくはX線)、大腸がん(便潜血)、腹部5臓器(エコー)
乳がん(マンモグラフィーもしくはエコーの何れか)、子宮頸がん(医師採取)
前立腺がん(PSA)
肺がん(CT)(胃がん、もしくは大腸・腹部・前立腺の検診を受診しない場合)
インフルエンザ予防接種
歯科検診
生活習慣病健診:労働安全衛生法対象外の社員を対象とする血液検査
禁煙支援:ニコチンパッチ4週間分の補助、禁煙外来
糖尿病性腎症重症化予防(糖尿病性腎症重症化による人工透析移行防止):生活習慣指導、主治医との連携
病院受診勧奨:血糖、血圧、脂質が受診勧奨値以上の者に対する健保からの受診勧奨

医療費の抑制

三井化学の傷病手当金は、2015年度以降減少傾向にありましたが、2018年度以降はメンタルヘルス不調者がやや増加したため、増加に転じました。しかし、2021年度の傷病手当金は、2008年度比73.6%で、がんおよび循環器疾患の抑制効果により長期的には抑制できています。また、三井化学健保全体と比較すると2021年度も抑制されています。
一人当たりの法定給付費(医療費)については、2021年は三井化学健保全体および健康保険組合連合会とも前年よりもやや増加し、新型コロナウイルス感染症まん延前の状況に戻りつつあります。三井化学健保と健康保険連合会の被保険者一人当たりの法定給付費(医療費)を2008年度100とした指標で見た場合、三井化学健康保険組合の増加率は、一般的な健康保険組合に比べ増加率を約50%程度に抑制できています。これらは、健康管理の総合的な効果と考えられ、今後も健康増進施策を強化・継続します。

傷病手当金推移

傷病手当金推移

法定給付費※1 推移(被保険者一人当たり)

法定給付費推移(被保険者一人当たり)

※1法定給付費:医療費他、傷病手当金、出産育児一時金、出産手当、埋葬費含む。

※2健康保険組合連合会:「健保組合予算早期集計結果の概要」よりデータ使用。

労働衛生に関する社外評価

健康経営優良法人 ~ホワイト500~ に6年連続で選定

三井化学は、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)ホワイト500」に、6年連続で認定されました。「健康経営優良制度~ホワイト500」とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰するものです。

健康経営優良法人~ホワイト500~

スポーツエールカンパニーに4年連続で認定

三井化学は、スポーツ庁より「スポーツエールカンパニー2021」に4年連続して認定されました。2017年度から始まったこの制度は、スポーツに対する社会的気運の醸成を図ることを目的に、従業員の健康増進のため、スポーツの実施に向けた取り組みを積極的に行っている企業を認定するものです。当社は、社内で実施しているヘルシーマイレージ合戦への取り組みが評価されました。

スポーツエールカンパニー

健康優良企業「銀の認定」を獲得

三井化学は、健康優良企業「銀の認定」「金の認定」を目指して、企業全体で健康づくりに取り組むことを宣言し、審査を受けた結果、健康保険組合連合会東京連合会から「健康優良企業 銀の認定」を受けました。日頃の取り組み(健診結果活用、健康づくり環境の整備、食、運動、禁煙、心の健康についての活動)が評価されたことによるものです。

健康優良企業「銀の認定」

健銀第1444号(認定期間は2022年12月まで)

がんアライ宣言・アワード 金賞を受賞

三井化学は「がんアライアワード2021」において最高賞であるゴールドを受賞しました。2019年に続き3回目の受賞となります。。「がんアライ宣言・アワード」は、がんを治療しながら働く「がんと就労」問題に取り組む民間プロジェクト「がんアライ部 」が、がん罹患者が治療をしながらいきいきと働ける職場や社会を目指して創設した新たな表彰制度です。当社の短時間勤務制度の導入、テレワーク制度の改定など、治療と仕事の両立がしやすい制度づくりを進めたことや乳がんをテーマにした社内講演会を実施し、乳がん検査の種類やセルフチェックの方法、職場でのサポートを学ぶ機会を設け、検診や治療への理解を促進したことが高く評価されています。

がんアライ宣言・アワード

日本政策投資銀行より「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」を取得

三井化学は、株式会社日本政策投資銀行(「DBJ」)が実施するDBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付 (以下、「DBJ健康格付」)にて最高ランク格付を取得しました。またこの格付に基づき、100億円の融資を受けました。。今回は2013年の格付け取得以降2度目の取得となります。「DBJ健康格付」とは、DBJ独自の評価システムにより、従業員の健康配慮への取り組みが優れた企業を評価・選定するという「健康経営格付」の専門手法を導入した世界で初めての融資メニューです。

DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付
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