リスクマネジメント
取り組み
全社重点リスクの特定
当社グループでは、リスクマネジメントプロセスに沿った全社リスクレビューにより、各リスクマネジメントオーナーが所掌する業務領域のリスクを抽出の上、影響度、発生確率等を考慮し、優先順位付けを行うことにより、全社重点リスクを特定しています。
2023年度における最重要リスクの状況
2023年度に設定した最重要リスク「事業継続(BCP)」については、全社の2024年度計画において各部門が具体的方策を策定し取り組み、全社横断的な目線での対応状況の検証、高度化を図ってきました。大規模な事故や自然災害等従来から認識しているBCPだけではなく、国際情勢における緊張の高まり、ESGに関する社会的要請、サイバーセキュリティ等、多岐にわたる事象を視野に入れ、グループ・グローバルでのレジリエンスの強化に努めました。
具体的な対応例
- 製品間でのグローバルな生産拠点の相互活用推進
- 国内外の物流会社・船会社との連携強化による物流ルートの複線化推進
- DX技術を活用した輸送時のGHG排出・削減実績把握ツールの開発
- 国内外関係会社の情報システムセキュリティチェック結果に基づく脆弱性への対応強化
- 社内横断プロジェクトによる、内部からの情報持ち出しに対する強化策の導入
また、対応に遅れがある部門について、事業継続計画書の整備等具体的な改善に着手する等、グループ全体としてのマネジメントレベルの底上げに繋げることもできました。加えて、リスクが現実の危機として顕在化した際に迅速かつ適切に全社横断的な対応を講じダメージの抑制を図るべく、危機管理に関するルールのアップデートも実施しました。
2024年度における全社重点リスク
2024年度は、2023年度の最重要リスクへの対応状況も踏まえつつ、全社リスクレビューにより次のものを当社グループの全社重点リスクとして設定しています。
当社グループは、全社重点リスクについて、環境変化に柔軟に対処し、経営/戦略にタイムリーに反映させるべく、全社リスクレビューを定期的に実施し、影響度・発生確率も含め適宜更新してまいります。足下では、米国の通商政策の影響によるリスクも発生しておりますが、その影響に対しても全社視点での継続的なモニタリングを実施し、適宜必要な対応を取っています。
全社重点リスク一覧
| リスクカテゴリー | 想定される脅威・機会 | 密接に関連するマテリアリティ | 
|---|---|---|
| 1) 事業継続に関するリスク | 事業継続(BCP)、サプライチェーンの分断、海外の有事、プラントトラブル | 安定生産、住みよいまち、食の安心、健康とくらし、デジタルトランスフォーメーション | 
| 2) 製造・品質に関するリスク | 安全・環境、品質マネジメント、化学品規制 | 安全、安定生産、品質 | 
| 3) コンプライアンスに関するリスク | コンプライアンス、法令・規制の強化・変更 | コンプライアンス | 
| 4) 技術革新に関するリスク | 新事業の創出、技術革新 | イノベーション、ライフサイクル全体を意識した製品設計 | 
| 5) 気候変動に関するリスク | カーボンニュートラル戦略の遂行 | 気候変動、サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 | 
| 6) 自然資本に関するリスク | プラスチック問題、自然資本の保全 | サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 | 
| 7) 人権に関するリスク | 人権尊重 | 人権尊重、パートナーシップ | 
| 8) 事業基盤に関するリスク | 人材マネジメント、DE&I推進、ステークホルダーコミュニケーション | 企業文化、人的資本、パートナーシップ | 
| 9) DXに関するリスク | DX技術の活用、情報セキュリティ、業務システムの更新 | デジタルトランスフォーメーション、安定生産、ライフサイクル全体を意識した製品設計 | 
| 10) 経営管理・監督に関するリスク | 資本効率を意識した経営、経営資源配分、投資判断、M&A・事業譲渡 | - | 
| 11) マクロ環境に関するリスク | 市場における競争の激化、戦略連携の強化、市場ニーズの変化、製品コストの上昇、グローバル展開 | - | 
※下線は後述する優先的に管理すべきリスク
各全社重点リスクの詳細は、有価証券報告書「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (2)全社重点リスク」をご覧ください。
優先的に管理すべきリスク
2024年度は、全社リスクレビューにより、上述のとおり設定した全社重点リスクをさらに財務・非財務、リスク管理の時間軸の観点から整理・分類し、次の5つを当社グループが優先的に管理すべきリスクとして選定しました。
また、各リスクにリスクオーナーを選定し、それぞれが担当するリスクにつき、全社俯瞰的なリスク管理状況の可視化を図り、必要に応じて関係領域への助言を行うとともに、リスクマネジメント委員会への報告を行う運用とします。リスクオーナーがそれぞれの担当するリスクに関して、各リスクマネジメントオーナーのリスク管理方針を束ね、会社としての均一性や統一性を持たせることで管理の効率化とより高い成果の実現を目指します。
カーボンニュートラル戦略の遂行
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| 全社重点リスクカテゴリー | 5) 気候変動に関するリスク | |
|---|---|---|
| 想定される事象 | 脅威 | GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーション低下、カーボンプライシングに伴うコスト増、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの開発・販売の伸び悩みで価値訴求未達 | 
| 機会 | 低GHGの新規事業創出による企業成長とカーボンニュートラルの両立、GHG排出量削減によるカーボンコスト増加影響の抑制 | |
| リスクオーナー (サブオーナー) | 生産・技術本部およびグリーンケミカル事業推進室管掌社長特別補佐 (生産・技術本部担当役付執行役員/研究開発本部担当役付執行役員) | |
| 対応 | 次のカーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進 
 | |
人材マネジメント
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| 全社重点リスクカテゴリー | 8)事業基盤に関するリスク | |
|---|---|---|
| 想定される事象 | 脅威 | 必要な人材を採用・確保できず成長戦略が実行できない | 
| 機会 | 新たな人材の獲得と活用による、企業文化の変革の実現 | |
| リスクオーナー (サブオーナー) | 人事部・グローバル人材部担当役付執行役員 (CTO/生産・技術本部及びグリーンケミカル事業推進室管掌社長特別補佐) | |
| 対応 | 
 | |
情報セキュリティ
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| 全社重点リスクカテゴリー | 9)DXに関するリスク | |
|---|---|---|
| 想定される事象 | 脅威 | サイバー攻撃や社内のアクセス管理不備等に起因する情報漏洩により、業績や信用に大きなダメージ発生 | 
| リスクオーナー (サブオーナー) | 総務・法務部担当役付執行役員 (情報システム統括部担当役付執行役員) | |
| 対応 | 
 | |
戦略連携の強化
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| 全社重点リスクカテゴリー | 11)マクロ環境に関するリスク | |
|---|---|---|
| 想定される事象 | 脅威 | 国内競合を中心に機運の高まりを見せる業界再編への対応の重要性が高まる | 
| 機会 | 地域・他社との連携拡大を含む業界再編の動きへの的確な対応を通じた資本効率の高い事業への転換 | |
| リスクオーナー (サブオーナー) | 経営企画部担当役付執行役員 (ベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部担当役付執行役員) | |
| 対応 | 環境変化を捉えた、他社連携も含む当社の取り得るオプションの検討等による資本効率の改善 | |
グローバル展開
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| 全社重点リスクカテゴリー | 11)マクロ環境に関するリスク | |
|---|---|---|
| 想定される事象 | 脅威 | 各国/地域毎のニーズ/ペインの多様化に合わせた対応を取れないことによる、海外での競争劣位、成長機会の喪失 | 
| 機会 | 各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現 | |
| リスクオーナー (サブオーナー) | 地域戦略推進部担当役付執行役員 (経営企画部担当役付執行役員) | |
| 対応 | 次の取り組み等による、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化及び各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現 
 | |
上記5つの優先的に管理すべきリスクは、対応の緊急性が高いものだけではなく、当社グループ理念あるいは長期経営計画「VISION 2030」達成のため、長期的な視点で今の時点から重点的な対応が必要と判断したリスクも含みます。例えば「情報セキュリティ」リスクは、緊急性が高く当社グループの存続を脅かすリスクと認識している一方で、「カーボンニュートラル戦略の遂行」リスクは企業グループ理念にも直結するマテリアリティとして、VISION 2030の実現に不可欠な「機会」を的確にとらえるため、今の時点から注力していく必要があると考え取り上げました。いずれのリスクも当社の単独部門のみで対処せず複数部門が関わりグループ一丸となって管理すべきリスクと考えています。
リスクマネジメント委員会において5つのリスク特性をとらえた管理手法を議論した結果、特に「情報セキュリティ」リスクは、緊急性が高く全社横断的な取組みの効率的な可視化が必要であるため、2025年度の全社各部の年度計画においてその具体的方策を策定の上、達成状況をリスクマネジメント委員会が確認することとしています。その他の4つのリスクについても、個別事業戦略ないし機能戦略の責任者である役付執行役員をリスクオーナーにも指名することで、戦略と一体となったリスク管理に取り組んでまいります。
全社重点リスク分類表
赤字:優先的に管理すべきリスク
