持続可能な調達
取引先評価と改善支援
新たに取引を開始するとき、また、継続取引先については定期的に、取引内容に応じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組み状況を確認しています。環境保全、労働安全、品質保証に関する項目のほか、企業統治や公正取引、人権、情報セキュリティなど幅広い内容についての確認を実施しています。また、その結果に基づいて取引先企業の評価を行い、必要に応じて改善の指導も実施しています。著しい不具合があった取引先には、罰則基準に従い、発注停止処分等の対応を行っています。なお、2020年4月の民法改正に伴い、原材料や資機材の取引約款を改正しました。
お取引の手順


持続可能な調達調査
当社グループは取引先に回答を依頼する持続可能な調達SAQの様式として、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン サプライチェーン分科会作成の CSR調達セルフ・アセスメント質問表 ※ を採用しています。これは、国連グローバル・コンパクト10原則をはじめ、ISO26000やGRI等の国際規格との整合性に配慮して作成されたものです。当社グループは取引先に対して、持続可能な調達ガイドライン に記載する事項を要請していますが、それら内容を具体化したものがこのSAQであると考えています。
取引先にSAQへの回答を求め、その回答結果に基づき、取引先へのフィードバックおよび改善支援を行っています。また、SAQの回答率(当社グループ全体の取引額ベース)を持続可能な調達率として2025長期経営計画のKPIのひとつに設定しています。
※グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン事務局発行の「持続可能な世界実現のためのお役立ちシリーズ CSR調達セルフ・アセスメント・ツール・セット 」より一部抜粋
2017年度から2019年度にかけて、購買部取引先※へのSAQ調査を実施し、取引額の約9割に当たる307社から回答をいただきました。
2018年度は、持続可能な調達SAQの解説書を作成し、SAQの得点率が70%未満であった取引先に送付し、SAQ設問内容の理解を深めていただくための啓発資料としました。また、得点率が40%未満であった取引先への訪問指導では、この解説書を使いながら、それぞれの取引先の実情に配慮した話し合いを行いました。その結果、取り組み内容をSAQに反映させる理解が深まり、訪問指導を行った取引先全ての得点率が40%以上に改善しました。また、これら取引先には、次のステップに向けて活動を継続していただくことをお願いしています。
※購買部取引先:
原材料調達先:510社、資機材・間接材調達先:3,028社(2020年5月時点)
2019年度には、事業部や国内関係会社(子会社)へ持続可能な調達について説明のうえ、事業部や子会社の取引先へのSAQ調査を開始しました。これは、元々2021年度に計画している次回調査の先行実施であり、持続可能な調達の展開を加速するとともに、作業を平準化する目的です。
持続可能な調達調査の実績(2017-2019年度)
この表は横にスクロールできます。
SAQ得点率区分 | 社数 | 改善に向けたアクション |
---|---|---|
レベル3 (得点率70%以上) |
223 | 全社平均、業界平均と回答企業の得点率のチャートとともにフィードバック実施 |
レベル2 (40%以上70%未満) |
70 | 解説付きSAQを送付し、次回(2021年)までの改善を依頼 |
レベル1 (40%未満) |
14 | 訪問のうえ改善に向けた意見交換と解説付きSAQで説明の上で再度回答依頼 |
回答取引先計 | 307(回収率:90%) |
持続可能な調達率
この表は横にスクロールできます。
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2025年度 (目標) |
|
---|---|---|---|---|
購買部取引額ベース | 73% | 84% | 84% | ─ |
三井化学取引額ベース | 39% | 44% | 44% | ─ |
三井化学グループベース | ─ | ─ | ─ | 70% |
取引先への注意喚起実施
2016年度は、購買部の取引先約2,600社に向け、下記の内容の注意喚起文書を送付しました。
2018年度は、各工場の協力会社向けに、これらの項目について説明会を実施し、注意喚起文書を配布しました。また、購買部の全取引先に向け、贈答品辞退の文書を送付しました。
- 過去発生した不具合事例の紹介
- 取引先各社への依頼事項
サステナビリティの見地もふまえた、法令および社会規範遵守
購買部が所管する取引において、依頼部署と直接価格交渉等を行わないこと
BCP(事業継続計画)の策定 - 三井化学グループ購買方針の内容とリスクホットラインの再周知
紛争鉱物に対する考え方
三井化学グループは、いわゆる紛争鉱物に対して求められる必要な対応について十分認識しており、2015年度には、購買部において2014年度に取引のあったすべての原料を対象に調査を行いました。その結果、コンゴ民主共和国およびその周辺国の現地武装勢力による非人道的行為に関わる紛争鉱物である金(Au)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、錫(Sn)を購入・使用していないことを確認しています。今後もし使用が判明した場合は、速やかに紛争鉱物の調達を停止します。
また、購買部とRC・品質保証部は協働で化学品安全情報システムに登録されている当社製品組成から、錫触媒などを特定し、取引先への紛争鉱物調査を毎年実施しており、問題が無いことを確認しています。持続可能な調達SAQにおいても、紛争鉱物への取り組みを確認する項目を設けています。
社内教育
2016年度は、三井化学の全購買部員に対して持続可能な調達教育を行いました。以後も新任部員への調達教育の必須要素のひとつとして運用しています。2018年度は、三井化学の全購買部員に対して持続可能な調達SAQの設問内容についての教育を行い、部内の浸透を深めました。2019年度は事業部や国内関係会社(子会社)の購買担当者に対しても、持続可能な調達SAQについての説明を実施しました。2020年度の購買部員向けe-ラーニング科目に新たに「品質監査業務」を加え、より的確かつ高度な視点で取引先監査が実施できる体制を目指しています。
購買部員以外の、社内の購買行為を行う社員に対し、調達ルールについてのe-ラーニング受講を義務付けており、集合教育も毎年定期的に実施しています。2020年度は調達ルールについてのe-ラーニングの内容を更新しました。