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三井化学、腎疾患を中心とした臨床ステージの創薬を行うリジェネフロへ投資

2024.11.05

三井化学株式会社

三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本 修、以下「三井化学」)は、321FORCE™(登記名:MCIイノベーション投資事業有限責任組合、運営者:グローバル・ブレイン株式会社)を通じて、腎疾患を中心とした臨床ステージの創薬を行うリジェネフロ株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役CEO:森中 紹文、以下「リジェネフロ」)へ投資を実行したことをお知らせいたします。

■リジェネフロについて

リジェネフロは京都大学iPS細胞研究所 長船健二教授の研究シーズを基盤とする技術を駆使する臨床ステージの創薬スタートアップ。iPS細胞を用いた腎臓、膵臓、肝臓領域の疾患の治療法を開発しており、iPS細胞から分化誘導した細胞を患者に移植し疾患を治療する細胞療法、および患者由来もしくは疾患に特異的なiPS細胞を分化誘導した細胞から構築した病態モデルを使用して、新規の治療薬の探索、開発をしています。三井化学はリジェネフロ、京都大学iPS細胞研究所と2022年よりエクソソーム*1を新しいモダリティ(治療法)として開発する共同研究を進めております。

*1:細胞から分泌される直径50~150ナノメートル(nm)の顆粒状の物質。細胞間コミュニケーションに重要な役割を果たしています。

■新規治療薬の探索、開発

常染色体優性(顕性)多発性嚢胞腎(ADPKD)*2の腎オルガノイド*3を使って、新規の治療薬候補としてレチノイン酸受容体作動薬を同定し、2023年12月より臨床試験を開始しています。さらにこの病態モデルを用いて、自動化技術を搭載したハイスループットスクリーニングを行うことで、何万種類もの化合物から高効率に新規治療薬となりうる薬剤を選出します。

病態モデルを用いた新規治療薬の選出 病態モデルを用いた新規治療薬の選出

*2:最も患者数の多い遺伝性腎疾患。腎臓に多数の囊胞(液体のたまった袋)が多発し徐々に増大することで腎機能低下が進行し、70歳までに約半数の患者が透析や腎移植を必要とする末期腎不全に至ります。根治的治療法は未だ開発されていません。

*3:肝臓の構造や生理機能を培養細胞で再現した組織様構造。

また、複数のマウスモデル実験でヒトiPS細胞より作製したネフロン前駆細胞*4を腎被膜下に移植すると低下した腎機能の改善がみられることを見出し、ヒトiPS細胞由来ネフロン前駆細胞RN-032による慢性腎臓病(CKD)*5に対する細胞療法の開発を進めています。

ヒトiPS細胞を用いたCKD細胞療法 ヒトiPS細胞を用いたCKD細胞療法

*4:腎臓の機能の最小単位であるネフロンを作る細胞。

*5:患者数は日本では1,300万人以上、毎年4万人以上が末期腎不全となり新たに透析療法を導入します。現在の透析人口は34万人を超えます。 その医療費は日本では約1.6兆円と全医療費の4%を占める医療経済的な負担の最も大きい疾患の一つです。しかし腎臓移植以外に根本的な治療法はありません。

三井化学は細胞培養分野を将来の成長分野と位置付け、三井化学の技術とアセットを活用し独自の細胞培養プレートやデバイスの開発に取り組んでおります。321FORCE™によるリジェネフロへの投資を通して、細胞培養分野における事業機会の深耕をさらに進めて、新事業ポートフォリオの拡充を図って参ります。321FORCE™は、今後も三井化学グループとスタートアップ企業との共創を通じて、社会課題やニーズをいち早くとらえソリューションを創出し、持続的成長に貢献する活動に取り組んで参ります。

■321FORCE™について

以上

<本件に関するお問い合わせ先>

三井化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部