三井化学と豆蔵、中食工場の盛り付け工程の自動化を実現する新型ロボット「美膳®(びぜん)」を共同開発

〜 高機能樹脂素材とAIロボティクスの融合で、食品製造の未来を変える 〜

2025.11.21

三井化学株式会社
株式会社豆蔵

三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本 修、以下「三井化学」)は株式会社豆蔵(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:中原 徹也、以下「豆蔵」)と、中食※1 製造における盛り付け工程の自動化を目的とした新型ロボット「美膳®」を共同開発しました。美膳®は、2025年12月に開催される「2025国際ロボット展(iREX2025)」にて初公開いたします。

開発の背景と共同開発のシナジー

中食業界では、慢性的な労働力不足のため生産性向上が急務となっています。中でも盛り付け工程は中食工場で最も人手がかかり、自動化ニーズが高い工程であると言われています。また、消費者ニーズの変化によって、季節や流行に合わせた惣菜・弁当を提供する多品種生産に対応可能な、汎用性の高いロボット化が求められています。

このような状況を受け、三井化学が持つ高機能樹脂素材および素材に関する開発・製造ノウハウと、豆蔵が持つロボット・AI・ソフト開発力を融合し、新型盛り付けロボットを共同開発しました。

  • 三井化学の役割

    高機能樹脂素材および設計・成形技術の提供、ロボットハンドの開発、ロボットの製造および販売を担当

  • 豆蔵の役割

    システム設計、ロボットアームを含むメカ・エレキの設計、AI・ビジョン・モーションを含むソフト開発を担当

新型ロボット「美膳®」

新型ロボット「美膳®」

※写真は開発中のものであり、実際とは異なる場合があります。

三井化学のロボットソリューション

三井化学は、共和工業(株)や(株)アークなど当社グループの知見を活かし、材料選定、設計、金型製作、成型加工、試作、量産、評価といった機能をワンストップで提供するソリューションを通じて、約10年に亘りロボット業界に貢献して参りました。今回の「美膳®」についても、豊富な樹脂への知見を活かし、特に食品に触れるハンド部分の樹脂選定、形状の設計を行い、食品毎に最適なロボットハンドを開発しました。また、アーム部分の外装を樹脂化することで軽量化し、モーターの負荷低減、盛り付けスピードの向上に寄与しています。

三井化学はこれまでのロボット事業におけるOEMの経験から組立製造技術を獲得しており、今回初めて自社ブランドとして「美膳®」を製造・販売することとなりました。

新型ロボット「美膳®」の特徴

  • 盛り付けロボットで業界最速の生産性(2,000食/時)を実現

    中食工場で人が作業した場合の生産能力2,000食/時(サイクルタイム 1.8秒/食)に対し、現行の盛り付けロボットの生産性は1,200食/時程度でしたが、美膳®は人の作業と同等の生産能力を実現しました。これにより、人とロボットが協働するラインでも高い生産性を維持できます。

  • 迅速な生産切り替えを実現

    中食工場では多品種生産により頻繁な生産切り替えが求められますが、美膳®は製造ライン内を移動可能なキャスターやユーザーフレンドリーな操作画面を備えるとともに、容易に交換可能なハンドの採用により、短時間での切り替えが可能な設計となっています。また、AI・ビジョン・モーション技術により、食品形状のバラツキやトレイの位置ズレ修正などに対応しています。

  • 既存ラインに導入可能な軽量性・小型化を実現

    軽量・高剛性の樹脂素材を採用し、双腕ロボットの小型化を実現しました。これにより、既存の盛り付けラインにそのまま導入することが可能です。

  • 人との協働を考慮した安全機能※2

    非接触外装センサーを搭載し、作業員が接近した場合には自動で減速・回避・停止します。これにより、高い生産性を維持しながら、人と同じ空間でも安全に生産することができます。

  • 実証試験を通じた性能・安全性の確認

    三井グループの業界ネットワークとマーケティング力を活用して現場の要件を的確に把握し、さらに、実際の工場環境下で集中的な実証試験を重ねることで、実用レベルの性能と安全性(機械安全、食品安全)を確認しています。

展示概要

ブースイメージ

※画像はイメージとなり、実際とは異なる場合があります。

今後の展望

両社は、今後も協業によりロボットの付加価値向上に取り組むとともに、本格的な事業化フェーズへ移行し、食品業界の課題解決に貢献して参ります。

※1:家庭で調理する「内食」と、外食店で食事する「外食」の中間に位置する食のスタイル。コンビニエンスストアやスーパーマーケットで販売される弁当や惣菜類等、調理済みの食品や惣菜を購入し、自宅や職場などで食べること。

※2:本機能は開発中です。iREX2025では要素技術の展示は行いますが、ロボットには本機能は非搭載となります。

以上

<本件に関するお問い合せ先>

三井化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部
株式会社豆蔵 管理本部