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プロダクトスチュワードシップ

法令遵守と情報提供

化学物質による人の健康や環境への影響を最小化することを目的とした国際的な化学物質管理の枠組み(SAICM※1/GFC※2)の下、世界各国は新法制定や法改正を進めています。法令遵守は企業存続の基盤であり、三井化学は法令に基づく化学物質管理を着実に実行しています。

また、サプライチェーンにおける情報提供は、製品の開発から廃棄にいたるまでのプロダクトスチュワードシップに欠かせません。当社は、法令に定められたSDSの提供、ラベルの表示だけでなく、当社製品を安全に扱っていただくための情報提供に努めています。

※1 SAICM:
Strategic Approach to International Chemicals Management

2006年の化学物質管理国際会議(ICCM)で採択され、国連環境計画(UNEP)で承認された国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ。

※2 GFC:
Global Framework on Chemicals – For a Planet Free of Harm from Chemicals and Waste

SAICMの後継として2023年に採択された新たな化学物質管理の枠組み。化学物質のライフサイクル全体をカバーし、マルチステークホルダーによる自主的な化学物質管理の推進を目指している。

新法制定・法改正への対応

国際的な化学物質管理の枠組みのもと、欧州REACH規則を始め、多くの国々が規制強化に動いています。既存制度の改正も数多く実施されます。三井化学では、事業部およびコーポレートの各部門が参画する社内横断的なチームを組織し、各国での新法制定や法改正への対応策を検討、原料メーカー、社内、サプライチェーンおよびお取引先とも協働しながら、計画的に漏れの無い規制への対応とリスク管理措置の実施を推し進めています。

欧州REACH規則に類似している、韓国「化学物質の登録及び評価に関する法律(化評法)」、トルコ「Kimyasalların Kaydı, Değerlendirilmesi, İzni ve Kısıtlanması(KKDIK)」、英国「UK REACH」については計画的な法対応が必要です。期限内の登録を確実に進めていきます。

※ 欧州REACH規則:
Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals

EUにおける化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規制

法令順守のためのグローバル・ネットワーク

国ごとの異なる規制を順守するには、現地での情報収集が必要不可欠です。三井化学では、アメリカ、ドイツ、中国、台湾、タイの関係会社に「Regulatory Expert」という担当者を配置し、現地当局の規制運用や、化学工業団体の方針などの情報を収集しています。当社と各国の担当者は「Regulatory Expert Meeting(年1回)」にて最新情報や課題の共有とディスカッションを行っています。

化学物質法適合性調査業務に関するAIソリューションの活用

三井化学グループでは、化学物質法適合性調査業務をアシストする新しいAIソリューションを活用しています。各国の法律文書や過去の調査情報、化学物質の同義語、上位概念、専門用語などをAI(IBM Watson)に学習させることで、質問文を入力するだけで各国の言語に翻訳し、法適合性調査に必要な情報をすぐに検索できるというものです。2020年より運用を開始しており、2023年よりグループ会社にも展開を開始しました。今後、当社グループの法適合性判断の知見を本システムに集中して学習させ、活用の範囲をさらに拡大させていきます。

化学品安全情報管理システムによる情報一元管理と安全性情報の提供

化学物質管理には、徹底した情報管理が重要です。三井化学は、取り扱うすべての製品、原料などの化学物質情報を、化学品安全情報システム(MiCSIS)で一元管理し、国内外法規制への適合確認、製造・輸入数量の管理、日本・欧米・東アジア諸国・タイの法令や各種標準に対応したSDS・製品ラベルの作成・chemSHERPAへの対応等を、迅速・確実に行い、法令順守や製品の危険有害性・安全な取り扱いについての顧客への情報伝達に取り組んでいます。また、MiCSISの関係会社への展開を図っています。

さらに、原料サプライヤーに対し、SDS、chemSHERPA、法規制調査報告書の提示を求め、原料中の化学物質情報の把握にも努めています。

各国法規において、製品や化学物質の登録は「始まり」であり、上市後も化学物質管理に終わりはありません。当社グループは、上市後の様々な変化に確実に対応するとともに、お客様へ最新の情報を迅速に、且つ、積極的に提供できるよう、情報発信型業務への転換に向けた取り組みを進めていきます。

※ chemSHERPA:
Chemical information SHaring and Exchange under Reporting PArtnership in supply chain
製品含有化学物質の情報伝達スキーム。グローバルで活用することを目指して経済産業省が開発、普及を進めている。

業界への貢献

三井化学は、化学産業のプロダクトスチュワードシップ推進に貢献しています。
グローバルにおいては、国際化学工業協会協議会(ICCA)等の活動を通して、また日本においては日本化学工業協会(日化協)等を通して、化学産業各社とともに化学物質を取り巻く課題に取り組んでいます。