安全・保安
研修
三井化学グループは危険に対する高い感性を持つ人材の育成やグループ全体への安全文化の浸透に向けて、研修など様々な取り組みを実施しています。
安全の日
三井化学はレゾルシン製造施設爆発火災事故を風化させないために、4月22日を「安全の日」に制定し、例年「安全を誓う式」や講演会を開催しています。2020年度は新型コロナウイルスの感染予防のため、行事内容を縮小しましたが、社長訓話を三井化学グループ全体に向けて発信し、「安全はすべてに優先することを、心に刻んで行動する」ことを全員で誓い合いました。また拠点ごとに構内一斉放送システムやWeb会議システムを活用して、社長や工場長の訓話を伝達する等、安全第一を改めて発信しました。


危険予知(KY)・指差し呼称
三井化学グループでは、事故・労働災害の撲滅のため、本体工場および国内外の関係会社で危険予知(KY)・指差し呼称の定着化と活性化に向けた取り組みを行っています。
本体工場では、工場ごとに計画、実施、評価、改善を行いレベルアップにつなげています。そのなかでも、危険なことを危険と認識し、それを防ぐ安全行動ができる人材の育成が重要であるとの考えから、各工場においてKY教育を継続して実施しています。また、KY活動の推進役として各工場にはKY指導員が選任されており、年1回の全体会議を開催しています。会議では各工場の取り組み状況の報告やKY活動を進める上での悩みや疑問に関する意見交換等を行い、自工場のKY活動の参考にしています。
国内外関係会社のKY・指差し呼称についても、安全・環境技術部が継続して研修支援を行っています。関係会社すべてがKY活動、指差し呼称の意義や必要性を理解しており、それらを実際の作業に活かし、定着化できるよう支援しています。研修は実作業に即した演習、発表やチーム討議を取り入れ、自分たちの日常の作業を振り返り、より安全行動が取れるよう意識付けをしています。KY・指差し呼称の定着にはキーマンが必要であり、研修を通じて育成を進めています。
KY研修実績
受講者数(総研修時間) | |||
---|---|---|---|
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
三井化学 | 608(2,128hr) | 963(3,659.4hr) | 1,010(2,424hr) |
国内関係会社 | 411(1,233hr) | 357(821.1hr) | 259(725.2hr) |
海外関係会社 | 122(488hr) | 68(340hr) | 37(222hr) |
計 | 1,141(3,849hr) | 1,388(4,820.5hr) | 1,306(3,371.2hr) |
ヒヤリハット活動
三井化学グループの各生産拠点では、作業に伴い各人がヒヤッとしたこと、ハッとしたこと(ヒヤリハット)を摘出し、組織内でそれらの情報を共有する活動を継続して実施しています。 各生産拠点の労働安全衛生マネジメントシステムに則り、ヒヤリハットの発生原因や予防対策を組織で決めて、関係者に周知啓発し、実作業におけるハード/ソフト対策を立案し実行しています。それら予防対策の実施に際し、必要な資源を継続して確保しています。具体的活動例は以下のとおりです。
岩国大竹工場
大竹製造課では、他職場や他工場の事故・労働災害を参考に、① 階段、床の腐食や踏み抜き懸念箇所、② 窒素雰囲気のまま開放点検等を実施する機器、③ アルキルアルミの取り扱いに由来する火災リスクという化学プラントに特有のヒヤリハット個所やヒヤリハット作業の摘出を課員全員で手分けして行いました。職場の安全衛生委員が、提出されたヒヤリハットの中から危険と考えられる設備や作業を選択し、月次で班員に周知して災害の未然防止を図っています。また、改善案を提案し現場の安全・安定化につなげています。
大牟田工場
農医薬課では、課員および運転協力会社社員が、特定のプラントを対象に不安全箇所や不安全行動につながる設備や作業の不具合について、班会や協力会社の安全懇談会等で議論・抽出を行いました。作業をなくせないか、作業方法を変えられないか、設備改造で改善できないかという視点で、抽出したひとつひとつの案件を検討し改善を進めています。
三井化学産資(株)
大竹事業所では、過去3年で最もヒヤリハット提出件数が多かった交通事故予防・転倒防止に絞り込み、大竹事業所内に留まらず三井化学大竹工場全体にまで展開した交通危険マップを作成しました。また、ヒヤリ発生箇所の安全対策実施に加え、標識・表示類を更新する事で、事業所内の危険箇所の削減と安全意識の向上を推進しています。
小集団活動
三井化学の各工場では、工場の特性を鑑み、生産現場力強化、意識改革・人材育成、職場活性化、業務改善などの課題や困っていることに対して、少人数のグループ単位で活動を行う小集団活動を実施しています。この活動を通じて、一致団結し、工場活性化のボトムアップを図っています。
活動の成果は発表会を通じて工場全体で共有化し、好事例を表彰することでモチベーションアップにつなげています。また、職場活動の参考にするなど水平展開し、職場および工場全体の活性化とレベルアップを推進しています。代表的な活動例は以下のとおりです。
市原工場
エラストマー1課では、自職場で製造する製品の特定銘柄において規格外品が比較的多いことに着目しました。規格外品の低減に向けて、運転員と常勤者が互いに協力し合いながらその原因究明、対策立案、企画検討に取り組み、製造条件の見直しに至りました。その結果、規格外品を大幅に低減させることに成功し、当初目標としていた年間1千万円以上のコストダウン・収益向上を達成することができました。
大阪工場
ポリプロピレン課では、運転員の目線(気づき)によるコスト削減活動を展開しています。例えば、特定箇所における蒸気配管のドレントラップ不具合と修理が複数回続いたことを運転員が問題と捉え、その原因究明と改善策を検討しました。関係部署の協力を得て、ドレントラップの型式を変更することで不具合の発生が収まり、その結果、蒸気使用量の削減につなげることができました。
(株)三井化学オペレーションサービス(MCOS)
2019年6月19日に岩国大竹工場で第13回MCOS全社小集団発表会を開催しました。MCOSは、三井化学の生産支援の機能分社関係会社であり、主に本体工場構内で防災警備、充填包装、運転・運転補助業務を担当しています。三井化学から生産・技術本部長、岩国大竹工場長他関係者が出席し、全国各事業所から選抜された代表12チームが想いのこもった成果発表を実施しました。生産・技術本部長は「分かりやすい発表、真に本気で取り組む活動は感動を呼びます。三井化学グループ全体として現場競争力を鍛え上げていきましょう。」と激励しています。今後の各工場の生産現場力強化、コスト競争力強化へのますますの貢献が期待されます。

製造課表彰
製造課表彰は、安全、環境、品質および生産技術に関する活動で優秀な製造課を表彰することで現場を活性化させることを目的としています。この制度は2004年度に開始し、2013年度からは安全成績等以外に、安全への取り組みプロセスにも着目し、製造課の努力、苦労等も評価することにしました。
2019年度は国内外の生産拠点から13件の応募があり、その中から社長賞1件、生産・技術本部長賞5件を選定しました。本体だけでなく、国内外の関係会社も受賞するなどグローバル展開が進んでいます。なお、上記の表彰に合わせ、工場長賞、本社部長賞も同時に表彰しています。
2019年度 製造課表彰
社長賞 |
---|
三井化学サンアロイ(株) |
生産・技術本部長賞 |
(株)プライムポリマー 市原工場 ポリプロピレン課 |
三井化学東セロ(株) 名古屋工場 ソーラーマテリアル課 |
大阪工場 製造1部 フェノール課 |
三井化学功能複合塑料(上海)有限公司 製造部(中国) |
張家港保税区三井允拓複合材料有限公司(中国) |

(三井化学サンアロイ(株))
また、製造課表彰社長賞受賞職場のすぐれたところを見学し、情報交換を行う交流会を行っています。自職場や工場内では得られにくい気付きを得て改善に活かすこと、ライン管理者としての悩みを共有・切磋琢磨し、三井化学グル-プの安全文化を向上させることを目的としており、2015年度から始めています。
2020年度の交流会は、2018年度の社長賞受賞部署(岩国大竹工場 製造2部 大竹製造課)、2019年度の社長賞受賞部署((株)三井化学サンアロイ)において開催し、情報共有と意見交換を行う予定です。また、表彰職場の優れた活動を三井化学グループ全体に展開するため、活動事例をグッドプラクティス集として社内ネットワーク上に掲載しています。日本語に加えて英語版、中国語版も掲載しています。
三井化学技術研修センター
当社は、生産現場オペレーターの人材育成を目的として2006年茂原に、2007年名古屋に三井化学技術研修センターを設立しました。茂原では主にケミカル系のオペレーター、名古屋では加工系のオペレーター向けの研修を実施しています。本体工場だけでなく研究部門や管理間接部門、さらには三井化学グループ国内外関係会社の従業員を対象とし、体験・体感型研修を通じて「安全を中心に運転・設備に強い人材」の育成に努めています。


三井化学技術研修センター(茂原および名古屋)
三井化学技術研修センター(茂原および名古屋)の当社グループ従業員向け研修実績
この表は横にスクロールできます。
三井化学従業員向け | ||||
受講者数(総研修時間) | ||||
---|---|---|---|---|
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | ||
工場オペレーター | 入社時 | 122 | 174 | 90(765hr) |
フォローアップ (入社半年後) |
142 | 166 | 134(3,752hr) | |
昇格者 (入社3~4年後) |
80 | 56 | 95(2,660hr) | |
職場リーダー (入社8年以降) |
57 | 43 | 42(588hr) | |
エンジニア | 入社時 | 23 | 44 | 32(336hr) |
入社3~5年後 | 18 | 29 | 28(588hr) | |
研究者 | 78 | 59 | 60(630hr) | |
その他 | 609 | 201 | 92(414hr) | |
関係会社従業員向け | ||||
受講者数(総研修時間) | ||||
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | ||
国内関係会社 | 212 | 263 | 353(2,824hr) | |
海外関係会社 | 54 | 88 | 45(630hr) | |
計 | ||||
受講者数(総研修時間) | ||||
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | ||
1,395 | 1,123 | 971(13,187hr) |
2018年度からはグループ・グローバル経営を支える基盤となる人材育成に積極的に取り組んでいます。当社単体だけでなく、国内外関係会社各社固有のニーズに対して、より現場に寄り添った教育や人材育成支援を行っています。
国内関係会社に対しては、センタースタッフが現地に出向いて行う出前研修を積極的に展開しました。また、2018年度に導入したVR(バーチャルリアリティ)技術を活用した研修を多くの従業員に提供し、労働災害防止に大いに役立つ教材となっています。東南アジア地区関係会社については、タイのSiamグループの技術研修センター(Operation Excellence Training Center, OETC)を活用し、タイ語および英語による研修を実施しました。Siamグループには、当社の研修設備一式をライセンスしています。さらに、シンガポール地区の関係会社が行っている研修の支援や、現地ニーズに応えて火災・静電気に関する出前研修も行いました。
センタースタッフの出前研修実績
当社グループ従業員向け | |||
受講者数(総研修時間) | |||
---|---|---|---|
2018年度 | 2019年度 | ||
出前研修 | 239 | 1,255(10,040hr) |




2015年度からは、社内で行ってきた体験・体感型研修を社外の皆様にも提供しています。各業界からの生産現場における人材育成・安全教育に対するニーズは極めて高く、多くの皆様に受講していただいています。受講者の皆様からは「自社でも活用できる多くの気付きがあった」、「事故・災害事例に基づく体験型研修は理解しやすかった」など、高い評価をいただいています。2019年度は、センターを見学した中国化学工業協会(CPCIF)にも研修の価値を高く評価していただいたことから、2020年度より中国の化学会社に対して研修を提供する計画が進行しています。
社外向け研修(茂原) ・見学対応(茂原および名古屋)実績
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
---|---|---|---|
研修受講者数 | 344 | 317 | 274 |
見学者数 | 695 | 630 | 456 |
