持続可能な調達
取引先評価と改善支援
三井化学グループでは、「持続可能な調達」の観点から取引先選定を行うことを三井化学グループ購買方針のひとつに掲げています。新たに取引を開始する際には持続可能な調達ガイドラインを共有し、取引先の持続可能な社会の実現に向けた取り組み状況を確認します。継続取引先についても取引内容に応じて定期的に取り組み状況を確認しています。具体的な確認項目として、環境保全、労働安全、品質保証に関する項目のほか、企業統治や公正取引、人権、情報セキュリティなど幅広い内容を設定しています。また、その結果に基づいて取引先企業の評価を行い、取引先選定や取引継続の判断材料とするだけでなく、必要に応じて改善の指導も実施しています。
お取引の手順
持続可能な調達調査
三井化学グループは「持続可能な調達」を実現するため、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)のサプライチェーン分科会が作成した「CSR調達セルフ・アセスメント質問表」(セルフ・アセスメント質問表、以下SAQ)を用いて、取引先への調査活動を実行しています。このSAQは、国連グローバル・コンパクトの10原則をはじめ、ISO26000やGRI等の国際規格との整合性に配慮して作成されています。その回答結果から導き出される「持続可能な調達率」は、VISION 2030のKPIのひとつに設定しモニタリングしています。
2017年より、まずは三井化学の購買部の取引先や事業部の取引先を対象として活動を開始、現在では国内の主要な関係会社の取引先へと調査対象を広げており、2023年度の「持続可能な調達率」は三井化学が61%、国内関係会社(主要な12社)が70%となっています。回答いただいたSAQは購買部にて分析し、得点率の低い取引先は直接訪問し、状況の確認を行うなどして改善に向けた支援を行っています。また、取引額の大きい取引先とは定期的な情報交換の場で、当社の持続可能な調達の方針の説明やSAQの回答結果についての情報交換をし、双方向のコミュニケーションの強化にも努めています。現時点では、こうした双方向のコミュニケーションは当社と直接の取引がある取引先に限られていますが、今後はその先の取引先まで広げられるよう検討を進めています。
持続可能な調達率=SAQに回答いただいた取引先との取引額/全取引額
2017年度 | ~ | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2030年度 (目標) | |
---|---|---|---|---|---|---|
三井化学 | 39% | 61% | 61% | 61% | 80% | |
国内関係会社※ | ─ | 70% | 70% | 70% | 80% |
※ 国内の主要な関係会社。
取引先へのその他の改善支援等
三井化学グループは、取引先と当社相互の持続可能な発展のため、取引先に対し、以下の内容に関する情報を提供しています。2018年度は、各工場の協力会社向けに、以下の項目について説明会を実施し、注意喚起文書を配布しました。2020年度および2022年度にも、同様の文書を再度配布して継続的に周知しました。
- 過去発生した不具合事例の紹介
- 取引先各社への依頼事項
- サステナビリティの見地もふまえた、法令および社会規範遵守
- 購買部が所管する取引において、依頼部署と直接価格交渉等を行わないこと
- BCP(事業継続計画)の策定 - 三井化学グループ購買方針の内容と内部通報窓口設置の再周知
紛争鉱物に対する考え方
三井化学グループは、「三井化学グループ持続可能な調達ガイドライン」において、責任ある原材料調達の一環として、紛争鉱物を用いた原材料の購入および使用を行わないことを謳っています。2016年以降、購買部とRC・品質保証部が、化学品安全情報システムに登録されている当社製品組成から錫触媒などを特定し、当該製品の原料取引先に対しCMRT※を利用した紛争鉱物調査を実施しています。その結果、紛争鉱物とされているコンゴ民主共和国およびその周辺国の現地武装勢力による非人道的行為に関わる紛争鉱物である金(Au)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、錫(Sn)を購入・使用していないことを継続的に確認しています。また、持続可能な調達SAQにおいても、取引先の紛争鉱物への取り組み状況を確認する項目を設けています。
今後もし使用が判明した場合は、速やかに紛争鉱物の調達を停止します。
※ CMRT:
Conflict Minerals Reporting Template。紛争鉱物に関しRMI(Responsible Minerals Initiative)により提供された、紛争鉱物報告のための調査フォーマット。
持続可能な調達に向けた社内教育
三井化学の全購買部員に対して持続可能な調達教育を実施しており、持続可能な調達への理解と実践に向けた取り組みを進めています。これまで事業部や国内関係会社(子会社)の購買担当者に対する持続可能な調達SAQに関する説明の実施、購買部員によるe-ラーニング「品質監査業務」の受講必須化、GCNJのGame Of Choiceを教材としたワークショップの開催などを実施してきました。2023年度はサプライチェーン上で実際に発生した他社の人権問題の事例を用いた意見交換を行い、サプライヤーで発生した問題が、当社事業に影響を与えるリスクについて理解を深めました。