3Dプリンターを活用した歯科材料事業を拡充
~クラウドベースのデザインプラットフォームサービスの日本販売開始と 3Dプリンター用レジンインクのラインナップ拡大~
2020.11.17
三井化学株式会社
三井化学株式会社(所在:東京都港区、代表取締役社長:橋本 修)のグループ会社であるクルツァージャパン株式会社(所在:東京都文京区)*は、11月より歯科用3Dプリンターで作製するデンチャー(入れ歯)をデザインするクラウドデザインプラットフォームサービス(DENTCA, Inc.(所在:米国カリフォルニア州)*製)の提供を、日本で開始しました。また10月から、三井化学の高分子、合成技術を活かした3Dプリンター用ソフトスプリント向けの新しいレジンインクを販売しています。
クラウドベースの3Dプリンター用デザインプラットフォームサービスの販売開始
歯科治療分野では、3Dプリンターを活用することでデジタル化を推進できます。DENTCAにてこれまで米国を中心に展開していた、歯科用3Dプリンター向けクラウドベースのデザインプラットフォームサービスを、日本ではクルツァージャパンが、11月より販売開始しました。従来は歯科技工士が歯の排列や歯肉のデザインを、模型を使って手で行っていましたが、本サービスでは、クラウドベースのソフトウェア上で全てデザインできるようになります。デザインを基に、薬事認証を取得した歯と歯肉造形用の3Dプリンター用レジンインクを用いて3Dプリンターで造形することによって、デンチャーが作製されます。
これにより、これまで歯科技工士が長時間かけて作成していたデンチャーを従来の作業時間の1/10程度の短時間で作製できるようになり、生産性の向上が図られるとともに、熟練した歯科技工士の人手不足解消にも貢献できます。一方、患者にとっては、デンチャー作製のために最低5回は通院が必要ですが、これを3回程度まで減らすことが可能になり、介護現場などでの患者負担の大きな軽減も期待できます。
3Dプリンター用レジンインクのラインナップ拡大
クルツァージャパンでは、2020年10月に、今年5製品目となるソフトスプリント(噛み合わせによる顎などの障害を回復するために装着するマウスピース)造形用レジンインクの販売を開始し、さらなるラインナップの拡充を図っています。
歯科材料分野では、金属から樹脂への素材転換が進んでいます。三井化学は、強みである素材開発力を背景に、研究開発資源を投入しており、既に2000種類以上のレジンインクのレシピを所有しています。三井化学が開発したレジンインクは、Kulzer GmbH(所在:ドイツ・ハナウ市)*にて、歯科医療分野での用途に応じた検証を行い、それをフィードバックして最適化しています。その後、B9Creations, LLC(所在:米国サウスダコタ州)*の3Dプリンター(cara Printer)で造形するために、レジンインクに最適化されたパラメータを設定し、最新のファームウェア(造形プログラム)として提供しています。
顧客ソリューションの提供による歯科材料事業の拡充
歯科医療の現場において、長年のビジネスで現場のニーズを知り抜いたKulzer、先進的なデザインシステムの提供により安定した品質の歯科技工をサポートするDENTCA、そして歯科に特化した3Dプリンターを開発し、安定した品質で機器を供給するB9Creations、さらに三井化学のポリマーテクノロジーを組み合わせて、顧客に最適なソリューションを提供することで、事業の拡大を図っています。
三井化学グループは、これからも歯科材料事業の拡充により、デジタル化を推進し、歯科医療従事者及び患者様のQOL向上に貢献してまいります。
*三井化学グループ会社概要
◆DENTCA, Inc.
2009年設立。CAD/CAMシステムを用いたデンチャーの開発・製造・販売
◆Kulzer GmbH
1934年設立。歯科材料、歯科用機器の開発・製造・販売およびデジタル3D加工サービスを提供
◆クルツァージャパン株式会社
Kulzerの日本法人
◆B9Creations, LLC
2016年設立。3Dプリンターの製造販売(ジュエリー用、歯科用など)