マイクロ波を用いた廃プラスチックのダイレクト・モノマー化の取り組み開始について
難リサイクルの廃プラであるASRやSMCのケミカルリサイクルの実用化に向けて
2021.11.18
三井化学株式会社
三井化学株式会社(東京都港区、代表取締役社長:橋本修)及びマイクロ波化学株式会社(大阪府吹田市、代表取締役社長CEO:吉野巌)は、マイクロ波技術を用いて、これまでリサイクルが難しかったポリプロピレンを主成分とする混合プラスチックであるASR(自動車シュレッダーダスト)やバスタブや自動車部品などに使用されるSMC(熱硬化性シートモールディングコンパウンド)などの廃プラスチックを、直接原料モノマーにケミカルリサイクルする技術の実用化を目指した取り組みを開始しました。
三井化学とマイクロ波化学は、2017年に次世代化学プロセス技術の共同開発を推進するため戦略的提携を締結し、一部出資も含めて、強固な関係を構築しており、様々な化学プロセスへのマイクロ波技術の活用について検討を進めております。
今回新たに、ASRやSMC製品について、マイクロ波化学の開発するマイクロ波プラスチック分解技術”PlaWave™”を用いて直接原料モノマーに分解するケミカルリサイクル技術の実用化を目指した取り組みを開始します。本技術で直接原料モノマーに分解することにより、廃棄プラスチックをオイルに戻してからモノマー化する油化手法よりもワンステップ少なくプラスチックに戻せるため効率的であるとともに、将来的に分解プロセスに使用するエネルギーを再生可能エネルギー由来の電気を使用することでCO2排出量の削減が可能にもなります。
現在、初期検討を終え良好な結果を得たことから、21年度内にマイクロ波化学のベンチ設備での検証を行い、今後本格検討を進め、早期に実証試験を開始する予定です。
マイクロ波について
マイクロ波は、家庭用電子レンジや通信分野において使われてきた電磁波で、物質を直接、選択的に加熱できる特徴を持っています。マイクロ波は電気から作ることが可能で、再生可能エネルギー活用によるCO2削減にも貢献しうる環境調和型の技術でもあります。
三井化学グループのリサイクルの取り組み
三井化学は化学企業として社会に貢献し続けるため、2050年カーボンニュートラル目標を掲げています。また、気候変動とプラスチック問題を一体の課題として捉え、リサイクル技術・システムの開発とバイオマス製品ラインナップの拡充により循環経済の実現を目指しています。なお、リサイクル技術は、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの両技術を、今回のように、優位な技術を有する外部との連携も視野にいれ、早期の社会実装を目指します。
マイクロ波化学株式会社について
2007年創業。マイクロ波を活用した製品製造プロセスの高度化・合理化や、従来技術では製造困難な新素材の開発に取り組むスタートアップ企業です。医薬、電子材料、食品、燃料など、幅広い分野の製造プロセスへ応用が可能で、国内外の様々なメーカーとの共同開発やプラント立ち上げを進めています。
マイクロ波の導入により2050年までに実現する産業界のカーボンニュートラルに向けて当社が独自で策定した構想である“C NEUTRAL™ 2050 design”を展開しています。