三井化学、旭化成ペリクル事業を取得
2022.05.27
三井化学株式会社
三井化学株式会社(本社:東京都港区、社長:橋本 修、以下 三井化学)は、この度、旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下 旭化成)のペリクル事業を取得することに合意しましたのでお知らせ致します。
1.本事業取得の背景及び目的
三井化学は、新たな長期経営計画「VISION2030」に基づき、ユニークなICTソリューション事業を創造・拡大し、基本戦略である事業ポートフォリオ変革における、第3の柱へ成長させる事を目指しています。
中でも、ペリクル事業は、ICT材料の中心製品の1つとして、今後更に注力する事業と位置づけ、半導体製造プロセス革新に貢献する競争優位性の高い新製品・ソリューションを提案することで、先端領域におけるNo.1ペリクルメーカーを目指しています。
三井化学は、1984年にペリクルの販売を開始して以来、LSIペリクル*1の先端品市場におけるリーディングカンパニーとして、また、半導体業界の最先端技術であるEUV露光に用いられるEUVペリクルの事業化を果たしたトップランナーとして、ペリクル市場において高いプレゼンスを獲得してきました。
一方、LSIペリクル市場における高精細化や品質保証水準の高度化への対応には、一層の技術開発および継続的な追加投資が必要となっています。このことから、ペリクル事業において高度な技術・強固な事業基盤を持つ旭化成との間で、ペリクル事業の今後の在り方について、協議を重ねて参りました。その結果、事業強化の観点から、三井化学が旭化成のペリクル事業を取得し、運営していくことが最善との両社結論に至りました。
旭化成のペリクル事業は、1986年に事業化以来、FPDペリクル*2においてはNo.1プレイヤーとして同市場を牽引するとともに、LSIペリクルにおいても、製造工程の改良・生産能力の増強等を推し進め、先端品(液浸ArF)市場において近年市場シェアを拡大しています。
本事業取得により、三井化学は先端領域における当社の既存ペリクル事業と、旭化成が有する幅広いペリクル事業のポートフォリオを併せて事業拡大するとともに、新製品の開発や最先端の技術向上を目指し、世界“No.1”の総合ペリクルメーカーの地位を強固なものとして参ります。
2.本事業取得のスキーム
三井化学は、旭化成のペリクル事業を吸収分割により包括的に承継し、ペリクルの製造を請負う旭化成EMS株式会社(以下、旭化成EMS)を100%子会社化するとともに、現旭化成EMS延岡事業所と岩国大竹工場をペリクル製造拠点として運営してまいります。
なお、吸収分割の効力発生日は2023年7月1日を予定しています。
韓国・台湾における事業については、本吸収分割の効力発生日までに、旭化成の現地法人から当社の現地法人である三井化学韓国株式会社および台湾三井化学股份有限公司にそれぞれ事業譲渡を行います。
吸収分割対価・事業譲渡対価の総額は、当社と旭化成との間で最終的に合意した事業価値74億円を基礎として、各種価値調整を踏まえて今後確定します。
3.取得対象事業の概要
(1)事業内容 | ペリクルの製造、開発および販売に関する事業 |
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(2)製造拠点 | 旭化成EMS延岡事業所 |
(3)従業員数 | 約170名 |
4.今後の見通し
本件による三井化学グループ業績への影響は軽微であり、業績予想の変更はありません。
以上
参 考
三井化学の概要
(1)名称 | 三井化学株式会社 |
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(2)所在地 | 東京都港区東新橋一丁目5番2号 汐留シティセンター |
(3)事業内容 | 総合化学事業 |
(4)資本金 | 125,414百万円(2022年3月31日現在) |
(5)設立 | 1997年10月1日 |
(6)従業員数 | 連結 18,780名(2022年3月末) |
旭化成の概要
(1)名称 | 旭化成株式会社 |
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(2)所在地 | 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 |
(3)事業内容 | 総合化学事業 |
(4)資本金 | 103,389百万円(2022年3月31日現在) |
(5)設立 | 1931年5月21日 |
(6)従業員数 | 連結 46,751人(2022年3月末) |
対象製品概要
ペリクルは、半導体や液晶パネルの露光工程において、微細パターンが描かれたフォトマスクに塵が付着しシリコンウェハーやパネル基盤に結像することを防ぐために、フォトマスクのカバーとして使用される保護膜です。今回旭化成より取得する製品は、フラットパネルディスプレイ(FPD)製造時に使用する大型ペリクル(FPDペリクル)と、半導体製造時に使用される小型ペリクル(LSIペリクル)です。
*1LSIペリクル:半導体向け。
*2FPDペリクル:液晶・有機ELパネル向け。主な用途はスマホ、タブレット、PC、TV。