三井化学とimec、EUV露光用CNTペリクル技術の事業化に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結
2023.12.15
三井化学株式会社
ルーヴェン(ベルギー)、 2023年12月14日-三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本修)とナノエレクトロニクスとデジタル技術で世界をリードする研究・イノベーション拠点であるimecは、2023年12月13日、極端紫外線(EUV)露光用のカーボンナノチューブ(CNT)膜を使用した次世代ペリクルの事業化に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結しました。この提携により、三井化学は、自社のCNTペリクル技術にimecの持つCNTペリクルの基盤技術を融合させ、2025年から2026年をターゲットに高出力EUV露光向け製品の導入を目指します。
なお、調印式は、セミコンジャパン2023開催期間中に東京都内で行われました。
左:トーマス・ピリシュツク:imec シニアバイスプレジント、ワールドワイド ストラテジックパートナシップ アンド ストラテジー
右:平原 彰男:三井化学株式会社 専務執行役員 ICTソリューション事業本部長
この戦略的パートナーシップ契約はCNT膜とペリクルを共同開発するもので、imecは三井化学での事業化に向けたコンサルテーションとEUV露光機での評価を行います。これらのペリクルは、EUV露光中の汚染からフォトマスクを保護するように設計され、高いEUV透過率(≧94%)、非常に低いEUV反射率等の優れた光学特性、先端半導体製造における高い歩留まりとスループットに不可欠な特性を有します。さらに、CNTペリクルは1kWを超えるEUV露光出力にも耐えられるため、ASML社の露光機革新のロードマップにある次世代EUV露光機(>600W)にも対応します。これらの特性は、EUV露光機を量産プロセスで採用する企業から高い関心を集めており、両社は、先端半導体市場の要求を満たすためにCNTペリクルを共同開発していきます。
「imecは、長年にわたり、半導体エコシステムをサポートし、露光機のロードマップを推進してまいりました。2015年以来、当社はサプライチェーン全体のパートナーと協力し、先進のEUV露光用の革新的なCNTペリクルデザインを開発してきました」と、imecのアドバンストパターニング、プロセス、マテリアル担当シニアバイスプレジデントであるスティーブン・シェアー氏は述べています。「そして、私どもが持つCNT膜の計測、特性評価、特性、性能に関する深い知見は、三井化学の製品開発を加速させることを確信しています。私たちは共に、次世代のEUV露光用にCNTペリクルを製品化していきたいと考えています。」
露光機のロードマップでは、2025年から2026年の期間、2nmを超えるロジック テクノロジー ノードの採用と関連し、次世代ASML 0.33NA EUV露光出力が600W以上となる時期とあわせて、新たなペリクルの導入が見込まれています。
imecについて
imecは、ナノエレクトロニクスとデジタル技術における世界有数の研究・イノベーションセンターです。最先端の研究開発インフラとトップリサーチャーチームを含む5,500人以上の従業員を活用して、高度な半導体およびシステムスケーリング、シリコンフォトニクス、人工知能、5Gを超える通信およびセンシング技術、および健康とライフサイエンス、モビリティ、インダストリー4.0、農業食品、スマートシティ、持続可能なエネルギー、教育などのアプリケーションドメインでの研究開発を行っています。 imecは、半導体バリューチェーン、フランダースを拠点とする国際的なテクノロジー企業、製薬会社、医療およびICT企業、新興企業、学界およびナレッジセンター全体の世界業界リーダーを結びつけています。本社をルーヴェン(ベルギー)に置き、ベルギー、オランダ、米国に研究拠点、3大陸に拠点を置いています。2022年のimecの収益は8億4,600万ユーロでした。
imec の詳細については、www.imec-int.com をご覧ください。
三井化学について
三井化学の起源は1912年に遡ります。当時の社会課題であった食糧増産のため、日本で初めて石炭副生ガスから化学肥料原料を生産し、農業の生産性向上に大きく貢献しました。その後、石炭化学からガス化学へとテクノロジーを進化させ、1958年には日本初の石油化学コンビナートを築き、日本国内の産業界を牽引してきました。今では数多くの世界トップ製品を有しており、売上高1兆6000億円、世界約30か国、160社以上を抱えるグローバル企業へと成長しています。その事業ポートフォリオは、ライフ&ヘルスケア、モビリティ、ICT、ベーシック&グリーン・マテリアルズ分野と多岐に亘っています。三井化学は、今後も卓越したソリューションと「新たな顧客価値の創造」を通じ、社会課題の解決に貢献してまいります。