三井化学のマスバランス方式によるバイオAdBlue®が山九の化学製品輸送用タンクローリー車に採用
~高付加価値素材による、化学製品輸送における環境対応強化~
2025.08.21
山九株式会社
三井化学株式会社
三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本 修、以下「三井化学」)と山九株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村 公大、以下「山九」)は、山九が運行する化学製品輸送用タンクローリー車の一部に、三井化学が製造・販売するマスバランス方式による「バイオAdBlue®※1」を採用し、2025年6月より使用を開始したことをお知らせします。

「AdBlue®」とは、ディーゼルエンジンに搭載される尿素SCRシステム(選択還元触媒方式)で使用される、尿素を32.5%含む高品位の尿素水です。ディーゼル車の排気ガスには、大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)が含まれていますが、AdBlue®はこのNOxを無害な窒素と水に分解し、排出ガスをクリーンにする役割を果たします。
今回使用が開始された「バイオAdBlue®」は、マスバランス方式によるバイオマス尿素を原料としています。従来の石油由来原料を一部バイオマス由来に代替することで、製品ライフサイクル全体におけるGHG排出量を削減することが可能です。バイオマス原料由来の特性を割当てたアドブルーは、製品カーボンフットプリント※2が最大約7割削減されます(経済産業省・環境省「カーボンフットプリントガイドライン」に基づくLCA評価済)。一方で、品質は石油由来品と同等であり、機能面は維持されます。将来的には、供給範囲の拡大や他車両・他地域への展開も視野に入れ、持続可能な物流モデルの構築を進めてまいります。
本取り組みを通じて両社は、化学産業・物流業界におけるGHG排出削減の具体的手段を提案し、サプライチェーン全体での環境価値創出を推進してまいります。
マスバランス方式(物質収支方式)
「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法」(環境省バイオプラスチック導入ロードマップ)を言います。
石油由来のプラスチック・化学品と物性が全く変わらないこと、これまで難しかった素材でもバイオマス化が可能となるなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けて社会全体のバイオマス度を向上させるための重要なアプローチです。三井化学グループでは、既に約40を超える製品群でマスバランス方式によるバイオマス化を実現しています(2025年6月現在)。また、サーキュラーエコノミーにむけたリサイクルソリューションとして展開されていくケミカルリサイクルにおいても、マスバランスは重要な役割を果たします。詳細は、三井化学のバイオマス&リサイクルソリューションをご覧ください。

※1 AdBlue®(アドブルー® )はドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。
※2 評価範囲はCradle to Gate(原材料調達から製品製造まで)。
以上