マネジメントシステム リスク防止対策 コンプライアンス教育

マネジメントシステム

方針・基本的な考え方

株主の皆様、お客様、地域の方々など三井化学グループを取り巻くすべてのステークホルダーの皆様から信頼を得ながら企業活動を継続し、社会的責任を全うするためには、リスク管理、コンプライアンス推進の体制がしっかりと整備され、確実に運営されていることが不可欠です。
当社グループは、2006年2月に役員、社員一人ひとりの行動のよりどころになる三井化学グループ行動指針を定め、その中の2つの柱として「誠実な行動」と「人と社会を大切に」という指針を打ち出しました。この行動指針およびリスク管理規則(社則)に従い行動することにより、ステークホルダーの皆様からの信頼を確保し、企業の社会的責任を果たしていきます。
リスク管理については、昨今の国際的な社会経済情勢の変化のなかで、当社グループが進めている事業ポートフォリオの変革とグローバルな事業拡大にともない生じる新規リスクを含めて、経営活動の脅威となり得るすべての事象について、リスクの抽出およびリスク顕在化の未然防止に努めます。
コンプライアンスについては、企業に対する社会的要請が高まっていることに鑑み、さらなるコンプライアンスマネジメントの強化のために、2022年度よりコンプライアンス専門委員会を設置しました。同委員会が中心となって、コンプライアンスに関する施策をグループ・グローバルで展開していきます。

体制・責任者

リスク管理体制

グループリスク管理システム運営体制

取締役会が、当社グループのすべてのリスク管理について責任を負います。

M-GRIP:
Mitsui Chemicals Global Risk Management & Business Support Improvement Platformの略。

第1線および第2線

各部門(本社各部・工場・研究所・支店・関係会社)は、年度予算の中で、リスクモデル 手順書に基づきリスク評価を行い、適切にリスクを認識したうえで、それらのリスクに対応するために組織のコントロールを設計し遂行します。リスクを特定し管理する責任者は、各部門の担当役員です。(第1線)

各部門のリスク管理を確実にするため、専門知識を持つリスク管理支援部が各組織を支援、場合によっては監査、指導します。(第2線)

各部門は、リスクの種類および重要度に応じて、全社戦略会議ESG推進委員会、リスク・コンプライアンス委員会、コンプライアンス専門委員会、レスポンシブル・ケア委員会にリスク情報を報告します。各会議体ではリスク対応について討議を行い、各部門に対して方針の周知あるいは助言を行います。経営会議には、経営判断の材料となる全社のリスクが集約され、対応方針が討議決定されます。

グローバルに関係会社のガバナンスを強化し、
ベストプラクティスを共有するためのプラットフォーム「M-GRIP」

三井化学グループは、グローバル化の加速にともない増加するリスクの低減とさらなる事業改革・拡大を目指し、2020年度からグループ共通の間接業務基盤となる「三井化学グループグローバル・ポリシープラットフォーム(通称:M-GRIP)」の展開を始めました。「M-GRIP」は、人事、経理、物流など間接業務に関するグループ全体に共通する施策を「グローバル・ポリシー(G/P)」として定め、その施策をグループ各社が確実に実行することを通じて、正しい業務プロセスの実行と継続的な改善を図る仕組みです。さらにはグループのスケールメリットを有効活用することにより各関係会社の活動をサポートすることも意図しています。2021年度も、コロナ禍の中、すべてのグループ会社に対して個別にオンライン会議で仕組みを説明し、対話を通じて理解・定着を図りました。また、個人情報保護など5つのG/Pを新たに制定し、グローバルでの運用を始めています。今後数年かけ、必要なG/Pを整備し、展開していく計画です。グループ全体での共通意識の醸成とともに、企業価値向上に貢献するESG経営や危機管理の徹底を推進し、リスクの低減・回避とともに事業効率の向上を図り、持続的に成長し続ける企業グループの実現をサポートします。

M-GRIP展開チャート

「本社機能部門」「地域統括会社」「関係会社」「関係会社支援部」がそれぞれの役割を持って取り組んでいます。

M-GRIP展開チャート

海外関係会社からの声

各国のリーダーは、しばしば「法の支配」に言及しますが、この言葉は「指導原理」を表しています。辞書には、「法の支配」は「すべての国民が、きちんと国の法律を守っている状況」と定義されています。三井化学グループでは、2年前から一連のガバナンスおよびコンプライアンスルールであるM-GRIPが始動しました。各グループ会社が、それぞれ独自に設定していたリスク対応基準を、グローバル・ポリシー(G/P)により標準化したことが重要です。G/Pがあることで従業員は行動基準が明確になり、それを逸脱しないように行動することになるでしょう。これは「何が違反になるのか」を明確化することにも役立ち、“OneTeam”のもと、より強く素晴らしい文化を持った組織が形成されることにも役立ちます。M-GRIP導入時に実施された関係会社支援部によるコミュニケーションは、G/Pの浸透に非常に効果的でした。今、我々にとって大切なことは、各社の社内規則をG/Pに確実に準拠させることです。

Fred Yau
MITSUI CHEMICALS ASIA PACIFIC, LTD.
General Manager, Corporate
Planning Office & Purchasing Div.
Fred Yau

第3線

内部統制室は、第1線と第2線の両方の業務を独立的立場から監査し、経営者と取締役会に対して、アシュアランスを提供します。内部統制室では、業務監査やレスポンシブル・ケアに関する監査を実施し、三井化学グループ全体の内部統制水準を維持・強化し、現存する業務上のリスクが許容レベル以下に保たれるように図るとともに、法定監査の一環であるJ-SOX評価において金融商品取引法で要求される当社グループ全体の財務報告に係る内部統制の整備・運用状況を継続的に確認・評価して、業務の適正かつ効率的な遂行を確保すべく努めています。監査結果は定期的に取締役会および監査役会に直接報告しています。

業務監査では、コンプライアンス確認書を使用した内部統制の自己評価に基づいた内部監査プロセスを導入しています。コンプライアンス確認書には、独占禁止法・下請法・労働者派遣法の遵守、贈収賄・インサイダー取引・ハラスメント防止、安全保障輸出規制の遵守、会社情報および個人情報の適切な取り扱い、人権、情報システムセキュリティ、リスク管理、与信管理、適正な会計および税務処理、適正な内部牽制体制および運用などの項目が含まれ、毎年見直しを行っています。また、リスク管理支援部に対して行う上記各項目のプロセスオーナーとしての業務実施状況の監査や、社内外のリスク状況を考慮して年度ごとに設定するテーマ監査も実施しています。

レスポンシブル・ケアに関する監査(環境安全監査、労働衛生監査、品質監査、化学品安全監査)のうち、環境安全監査および労働衛生監査は内部統制室が実施しています。リスク管理支援部が実施する品質監査、化学品安全監査については、適正に実施されているかを内部統制室が監査しています。なお、監査は実地で行うだけでなく、新型コロナウイルス感染症等の影響により実地への往来が困難な場合であってもリモートで実施できる体制を構築しています。

リスク・コンプライアンス委員会の役割

リスク管理とコンプライアンス遵守の懸念に対処する特定の個別方針・戦略・計画を立案し、実行するために、リスク・コンプライアンス委員会を設置しています。
なお、2022年、リスク管理とコンプライアンス遵守に関する最終責任者が社長であることを明確にするため、リスク・コンプライアンス委員会委員長を社長としました。
外部リスクのうち、自然災害・テロ・暴動・政情不安等のリスク、内部リスクのうち、法令・ルール違反、財務報告の信頼性喪失、環境汚染、プラント事故、重大労災、PL訴訟、取引先信用不安、メンタルヘルス問題、労使関係の悪化、情報漏えい、情報通信システムの破壊等のオペレーショナルリスクを主な対象として、情報収集および評価、関係各部への実行指示、全社リスク管理方針の策定、個別リスクの対策検討、内部通報(リスクホットライン)制度の運用などを実行しています。本委員会で立案した方針・戦略・計画・施策、その他重要事項については、経営会議の承認を得ます。

リスク・コンプライアンス委員会の構成

委員長社長
委員リスク・コンプライアンス委員会担当役員、ESG推進委員会担当役員、総務・法務部担当役員、内部統制室長、各事業本部企画管理部長、生産・技術企画部長、コーポレートコミュニケーション部長、ESG推進室長、RC・品質保証部長、総務・法務部長、人事部長、経理部長、経営企画部長、関係会社支援部長、情報システム統括部長、委員長が指名する者
オブザーバー常勤監査役
事務局総務・法務部、人事部、経理部

また、当社グループまたは社会に重大な影響を及ぼす可能性のある緊急事態が発生し、組織的対応が必要である場合、リスク・コンプライアンス委員会担当役員は関係する担当役員と連携、協力のもと、状況把握を実施します。そしてその結果をふまえて、全社的立場から当社の採るべき対応および対策本部設置の要否について社長に具申します。社長決定に基づいて対策本部を設置することにより、事態収束に向けた対応の進言・指導を行います。

緊急事態の例:

  • 当社グループで発生した事故・事件により、人の生命、身体、財産、生活に被害が発生した場合、または周辺地域の環境に対する影響が惹起される場合
  • 何らかの事象の発生により、当社グループの人的・物的資産もしくは信用に重大な損失を生じ、業績が著しく悪化、または重大な損害賠償が発生する場合

コンプライアンス専門委員会の役割

コンプライアンス遵守に関する施策をグループ・グローバルベースで、体系的・計画的に実行していくため、2022年度より、「グループ・コンプライアンスマネジメント規則」を制定し、リスク・コンプライアンス委員会内にコンプライアンス専門委員会を設置しました。
コンプライアンスマネジメントを「予防」、「検知」、「初動対応」および「恒久対応」という4つの段階に区分した上で、コンプライアンス専門委員長の責任と権限のもとで、各段階における諸施策を一気通貫で運用し、コンプライアンス意識の向上等も含めたコンプライアンスマネジメントのPDCAサイクルを継続的に実行していきます。

コンプライアンス専門委員会の構成

委員長リスク・コンプライアンス委員会担当役員
委員総務・法務部長、人事部長、経理部長、関連する本社部レベル長、委員長が指名する者
オブザーバー内部統制室長
事務局総務・法務部

目標・実績

この表は横にスクロールできます。

KPI 集計範囲 2021年度 2022年度 2030年度
(中長期)
目標 実績 達成度 目標 目標
重大な法令・ルール違反数 三井化学
グループ
0件 1件 0件 0件

VISION 2030のKPIとして、三井化学グループの社会的信用、事業運営、収益等に重大な影響を及ぼす重大な法令・ルール違反数を挙げています。2021年度は、当社子会社で重大な法令・ルール違反が1件発生しました。当社では今回の事案を極めて重く厳粛に受け止め、当社グループ全体におけるコンプライアンスの強化および内部管理態勢に関する改善計画の実行、再発防止を徹底していきます。

  • Get Adobe Acrobat Reader

    最新のAdobe Readerはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。