三井化学、豆蔵、日本電産シンポの3社共同研究により「軽さ」「柔らかさ」を実現する協働ロボットの設計手法を確立
2021.01.12
三井化学株式会社
三井化学株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:橋本修、以下、三井化学)は、株式会社豆蔵(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:中原徹也、以下、豆蔵)、日本電産シンポ株式会社(本社:京都府長岡京市、代表取締役社長:西本達也、以下、日本電産シンポ)と協業し、新たなヒト協働ロボットの設計手法の共同研究を2020年4月から実施してまいりました。
2021年1月20日~1月22日に東京ビッグサイトで開催される「第5回 ロボデックス-ロボット[開発]・[活用]展」※に出展し、本共同研究の成果をご紹介いたします。会場では、機能的な特長をご覧頂ける試作機を展示しますので、ご来場をお待ちしております。
1. 背景
労働力不足などの背景から、産業用ロボットの市場は拡大を続けております。その中でも、ヒト協働ロボット(以下、協働ロボット)市場の拡大が著しく、2023年には産業用ロボット市場のうち15%(20万台/年)に達すると予想されています。協働ロボットはISO/TS 15066:2016で定義された人と協働で作業ができるロボットで、特定の条件下では従来の産業用ロボットで必須であった安全防護柵が不要になるため、産業用ロボットを導入できなかった中小企業が新たなユーザー企業として期待されています。
2. 共同研究の内容
本共同研究では協働ロボットの「軽さ」と「柔らかさ」を設計コンセプトとし、ロボットアームのフレームの樹脂化、減速機の逆駆動性の実現に取り組みました。スキームとして、三井化学が樹脂部品の設計・成形技術、豆蔵がロボットの設計・制御技術、日本電産シンポが新型の高バックドライバビリティ減速機を提供し、10kg可搬の7軸協働ロボットの試作機(Beanus2)を開発しました。
3. 共同研究の成果
3-1 フレームの樹脂化による「軽さ」
三井化学の樹脂部品の設計・成形技術によりロボットアームのフレームの大部分を樹脂化し、同形状の金属製アームと比べて重量を最大で1/2まで軽くすることが可能となりました。金属との接合が必要な個所には金属樹脂一体成形技術を使用し、樹脂でありながらも高い剛性を実現しています。また、軽量化によって衝突時の衝撃力の低減、可搬重量の増加、部品コストの削減、省電力化などが期待できます。
3-2 高バックドライバビリティ減速機による「柔らかさ」
一般的な波動減速機を採用している協働ロボットでは、アームに加わる外力をモーター電流値で高精度に検出することは困難であるため、ロボットの各関節にトルクセンサーを搭載する設計が一般的です。本共同研究では、日本電産シンポの高効率・低摩擦な高バックドライバビリティ減速機を使用することにより、モーター電流値で高精度に外力を検出できるようになりました。ここに豆蔵の力制御アルゴリズムを融合することで、トルクセンサーなしでロボットアームを柔らかく制御することが可能となりました。トルクセンサーを使用しないことにより、センサーの故障や断線による誤動作抑止、関節部の省スペース・軽量化に貢献できます。
4. 今後の予定
本共同研究での成果を新たな協働ロボットの設計手法として、ロボットメーカー企業に提案してまいります。三井化学はロボットアームへの樹脂部品の適用、豆蔵は軽さ・柔らかさを実現するノウハウを加えたロボットシステム開発支援サービスの展開、日本電産シンポは高バックドライバビリティ減速機の普及に努めてまいります。また、高バックドライバビリティ減速機を含む駆動部品の樹脂化にも取り組み、更なる軽量化と安全性向上の共同研究を継続してまいります。
会社概要
株式会社豆蔵
2006年10月設立。オブジェクト指向技術、ソフトウェアエンジニアリング技術をコアコンピタンスとしたIT企業で、業務/組込みシステムのコンサルティング・開発や技術者教育、近年ではロボットシステムの全領域(メカ・エレキ・ソフト)の開発・コンサルティングサービスを提供。
日本電産シンポ株式会社
1952年4月創立。無段変速機の製造、減速機の製造販売、工芸機器の製造、各種計測機器の製造、鍛圧機械、精密プレス加工製品の製造販売、その他機械器具の製造販売、以上に関する応用技術およびエンジニアリング、メンテナンスの販売。
以上