中国塗料のISCC認証取得のバイオエポキシ樹脂塗料が三井化学の液化アンモニア運搬船に採用
~高付加価値塗料による船舶の環境対応強化~
2025.07.07
中国塗料株式会社
三井化学株式会社
中国塗料株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:伊達 健士、以下「中国塗料」)と三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本 修、以下「三井化学」)は、高付加価値塗料による船舶の環境対応強化の取組みとして、警固屋船渠株式会社(本社:広島県呉市、代表取締役社長:久留島 匡繕)にて建造される液化アンモニア運搬船(以下、「本船」)のバラストタンク※1に、中国塗料開発の重防食塗料 『CMPノバ2000(Bio)』が採用されたことをお知らせいたします。本塗料にはISCC PLUS認証※2を取得したマスバランス方式※3によるCO2排出量を削減した三井化学のバイオエポキシ樹脂を使用しています。
なお、マスバランス方式によるバイオエポキシ樹脂塗料が船舶向けに採用されるのは世界初(中国塗料調べ)となります。
さらに本船の船底部には、中国塗料の低燃費型防汚塗料『シープレミア 2000 PLUS』が採用されており、運航時におけるCO2排出量削減も期待されます。
これらの高付加価値塗料を採用することで、塗料製造時および本船就航後においてCO2排出量の大幅な削減が期待されます。本船の竣工は2026年5月の予定です。
バイオエポキシ樹脂塗料 『CMPノバ2000(Bio)』について
『CMPノバ2000(Bio)』は、三井化学が展開するマスバランス方式によるバイオマス由来のエポキシ樹脂等を原料としたISCC PLUS認証を取得したバラストタンク用バイオエポキシ樹脂塗料です。品質、塗膜性能は石油由来品と同等であり、機能を維持しながらバイオマス由来であることで、既存の『CMPノバ2000』と比較して塗料1トンあたり約660㎏相当(暫定値)のCO2排出削減効果が見込まれます。

低燃費型防汚塗料 『シープレミア2000 PLUS』 について
本船は次世代低炭素エネルギー(次世代燃料)として注目されるアンモニアの運搬船として、環境性能が高いアイテムを積極的に採用しています。低燃費型防汚塗料『シープレミア2000 PLUS』を採用することで、一般の船底防汚塗料を使用した場合と比較し5~8%の燃費向上、および船舶運航時のCO2排出量の削減が期待できます。
高付加価値塗料による環境性能向上
採用部位 | 塗料 | 環境性能 |
---|---|---|
バラスト | バイオエポキシ樹脂塗料 | マスバランス方式によるバイオマス化で、塗料1トンあたり約660㎏相当(暫定値)のCO2削減効果が見込まれます。 |
船底 | 低燃費型防汚塗料 | 平滑な塗膜により水流摩擦抵抗を低減する効果と、耐フジツボ性が高い新規防汚剤Selektope®により船底部汚損に伴う馬力増加を大幅に抑える効果とで、5~8%の燃費低減および、CO2排出量削減が期待できます。 |
液化アンモニア運搬船について
船主 | 近海タンカー株式会社 (東京都港区芝5-25-11) |
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荷主 | 三井化学株式会社 (東京都中央区八重洲2-2-1) |
建造造船所 | 警固屋船渠株式会社(広島県呉市警固屋6-1-11) |
塗料メーカー | 中国塗料株式会社 (東京都港区虎ノ門2-6-1) |
船種 | 液化アンモニア運搬船 |
竣工年月 | 2026年5月(予定) |
※1 バラストタンク
タンカーや貨物船などは、積荷がある状態で安定するため、積荷を降ろした後は浮力により海面上に高く浮き上がって安定性が悪くなります。積荷の代わりに海水を重りとして汲み入れるためのタンクで、船の安定性を保ちます。
※2 ISCC PLUS認証
https://www.cmp.co.jp/news_all/news_all/20250610.html
「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法」(環境省バイオプラスチック導入ロードマップ)を言います。
石油由来のプラスチック・化学品と物性が全く変わらないこと、これまで難しかった素材でもバイオマス化が可能となるなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けて社会全体のバイオマス度を向上させるための重要なアプローチです。三井化学グループでは、既に約40を超える製品群でマスバランス方式によるバイオマス化を実現しています(2025年6月現在)。また、サーキュラーエコノミーにむけたリサイクルソリューションとして展開されていくケミカルリサイクルにおいても、マスバランスは重要な役割を果たします。詳細は、三井化学のバイオマス&リサイクルソリューションをご覧ください。

以上