サーキュラーエコノミーに向けて
マネジメントシステム
基本的な考え方
世界の人口増加や途上国、新興国を含めたグローバルな経済活動の活発化にともない、資源の大量消費と廃棄を前提とした従来型のリニアな経済活動が、プラネタリーバウンダリー(地球の限界)を超える大きな脅威となっています。また、廃棄物の不適切な管理によるごみ問題も深刻化し、自然資本の損失を招いています。こうした中、資源利用と経済成長のデカップリングにより環境と社会の持続可能性を高める「サーキュラーエコノミー」への転換に向けて社会全体での協調・協働した取り組みが求められています。
三井化学グループはこれまで化学製品や高機能プラスチックの提供を通じてエネルギーの効率改善やフードロス削減など、生活の利便性向上や社会課題の解決に対して貢献してきました。一方、その事業活動においては、多くの化石資源・エネルギーを使用し、GHGを排出しています。また近年では、海洋に流出したプラスチックごみによる環境汚染が懸念されています。当社グループは、こうした気候変動問題とプラスチック資源の大量消費・廃棄およびプラスチックごみの流出問題(以下、プラスチックごみ問題)を切り離して考えることはできず、一体としてその解決を図るべきと考えています。
当社グループでは、ライフサイクルアセスメントの観点を導入し、開発から製造、物流、使用、リサイクル、最終消費を経て廃棄に至る全ライフサイクルにわたってサーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。

体制・責任者
気候変動問題およびプラスチックごみ問題といったSDGs等で示されているESGに関する諸課題については、ESG推進委員会担当役員を責任者とし、ESG推進委員会にてグループ横断的な方針・戦略・計画の審議を行います。審議結果は、経営会議に報告しています。また、必要に応じて全社戦略会議での討議や経営会議での審議を経て、取締役会にて決定、監督されます。
2022年度からは、サーキュラーエコノミーへの対応をさらに強化すべく、サーキュラーエコノミーCoE(センターオブエクセレンス)体制を新設しました。サーキュラーエコノミーCoE体制はバイオマス、リサイクル、気候変動の3つのワーキンググループで構成され、CTOを統括責任者、グリーンケミカル事業推進室を事務局としたステアリングコミッティがこれら3つのワーキンググループを統括しています。関連部門による各ワーキンググループへの参加と情報共有・討議を通じて、各部門が個別に運営するプロジェクトのみならず、組織横断的なプロジェクトの効率的な推進に努めています。また、ステアリングコミッティで議論された方針をワーキンググループにフィードバックすることにより、全社戦略との整合性を図っています。

リスク管理と事業戦略
三井化学グループは、「気候変動」および「サーキュラーエコノミー」を当社グループのマテリアリティとして掲げ、それらがもたらす事業影響を機会とリスクの両面で定量的に評価・分析し、中長期的な事業戦略に反映しています。
リスクおよび機会の洗い出しにあたっては、当社のリスク管理体制のもと、全社横断的に実施しています。2020年度からは、各部門の予算書に気候変動に関する短・中・長期の課題・目標・方策を記載することとしており、2022年からは、サーキュラーエコノミー対応についても加えています。
また、サーキュラーエコノミーに向けた各戦略の推進を加速する施策のひとつとして、2022年4月にインターナルカーボンプライシング(ICP)を3,000円/t-CO2eから15,000円/t-CO2eに見直しました。大型投融資においてICPを考慮したIRR(c-IRR)を判断材料として追加することで、経済性の観点だけでなく環境負荷低減の視点からも投資の必要性を討議する制度となっています。
目標・実績
GHG排出量削減率
KPI | 集計範囲 | 2021年度 | 2022年度 | 2030年度 (中長期) |
---|---|---|---|---|
実績 | 目標 | 目標 | ||
GHG排出量削減率(Scope1,2) *2013年度比 |
三井化学グループ | 21% | 21% | 40% |
Blue Value®・Rose Value®製品売上収益比率
KPI | 集計範囲 | 2021年度 | 2022年度 | 2030年度 (中長期) |
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実績 | 目標 | 目標 | ||
Blue Value®製品売上収益比率 | 三井化学グループ | 18% | 22% | 40% |
Rose Value®製品売上収益比率 | 三井化学グループ | 20% | 25% | 40% |