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人材マネジメント

企業文化変革

ありたい姿に向けた取り組み

役員合宿

エンゲージメント調査結果や、2025長期経営計画未達の深層原因を分析し、2021年度よりVision2030の実現に向けた「企業文化変革」の取り組みを開始しました。特に2022年度は、VISION 2030実現に向けて必要な当社グループの企業文化変革の方向性について、社長以下担当役員(戦略会議メンバー)間のワークショップによる対話形式の集中討議を10カ月間に亘り実施しました。ワークショップでは、ありたい姿の実現に向け、①当社グループの文化・行動様式として何を残し、何を変えるべきなのか、②そのために「私」は何をするのか、③トップマネジメントチームとして今後どう展開していくのか、について議論し、アクションプランを策定しました。

2023年度は、それぞれのアクションプランについて年度初めに役員全員での意見交換会を行い、各本部・担当部門での取り組みを実施しました。グループでの進捗共有、意見交換を経ながら、次年度の方策につなげるといった一連のプロセスを行い、今後も経営会議等の場で相互に取り組みを確認していくこととしています。引き続き事業ポートフォリオ変革に資する企業文化の醸成のための取り組みを継続していきます。

役員合宿

インナーコミュニケーション推進 

2023年4月より、「橋本社長の声を通じて、社員とつながる」をコンセプトに、社員から寄せられた意見、質問等、毎回1つのテーマに対し橋本社長が直接答える「橋本ラジオ」を開始しました。カジュアルな話題から、当社の将来に関することやキャリアの話まで、幅広いテーマについて、社長自身の生の声で考えや思いを発信しています。

また、ラジオの内容は英語、中国語での発信も行っており、グループ全体に社長の声を伝えています。その他にも、CHROが事業所や海外拠点で社史を用いて実施する「残したい文化、変えたい文化」についての対話や、研究開発本部長の車座、部門横断PJの推進等、変革に向けトップ層から社員への働きかけや従業員からも意見の発信を行い、経営層と従業員の繋がり・相互理解を強化することで、企業文化変革に向けた施策を効果的に行っています。

ダイバーシティ

三井化学グループは、ダイバーシティの推進は社会的責任を果たすためだけでなく、当社グループの持続可能な成長のためにも必須であるとの考えから、ダイバーシティをコアバリューのひとつに位置づけています。多様な人材による多様な発想は、持続的継続に不可欠な能力であるイノベーションの源泉であり、ダイバーシティの推進は重要な経営戦略のひとつです。

また、三井化学グループ人権方針に掲げる人種、出身(国、出身地域、社会的出身、出身階級)、家系、宗教、障害、年齢、性別、性的指向、性自認、家庭環境、婚姻の有無、組合加入、政治的見解、その他の差異に基づく差別の禁止を念頭に、多様化する社員のキャリア意識や、働き方に対する価値観の変化に対応すべく各種のダイバーシティの推進施策に取り組んでいます。

ダイバーシティ推進体制

三井化学グループのダイバーシティ推進体制は、2006年度の女性活躍推進チームの結成からスタートしました。その後ダイバーシティの広がりにともない体制変更を続け、2019年度には社内のマイノリティ全般の活躍を所管し支援する部門として体制を強化しました。さらに2022年にはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョングループという組織名に変更し、エクイティ(公平)を実現するための取り組みを進めています。

VISION 2030においては、執行役員多様化人数目標や女性管理職比率目標を設定しており、進捗や施策については経営会議に報告・承認をとることで経営層がダイバーシティ推進にコミットメントしています。

推進体制の遍歴

2006年

女性管理職育成や女性が働きやすい就業環境の整備を目的とし、女性活躍推進チームが発足

2015年女性活躍推進法の成立を受け、女性の採用・育成・登用にさらに力を入れることを目的に、人事部にダイバーシティ推進室を設置
2016年ダイバーシティ推進室の所管・支援対象を女性から社内のマイノリティ全般に拡張
2019年

インクルージョンの重要性の浸透を目的とし、組織名をダイバーシティ&インクルージョングループに変更

2022年エクイティ(公平性)への取り組みを重視・推進するため、組織名をダイバーシティ・エクイティ&インクルージョングループに変更

女性社員の活躍推進

三井化学グループでは、「女性活躍推進チーム」発足以前より、女性社員の工場への配属や、女性の技術系総合職の積極的な採用など、事業活動への女性の積極的な登用に向け取り組んできました。当該チーム発足以降、制度面の充実化を進め、女性が働き続けられる企業風土の醸成に注力した結果、育児をサポートする制度が足らないといった理由で離職する女性はほぼいないというところに達しています。

当社の女性活躍推進は第3フェーズに入っており、現在は意思決定層の女性を増やすことが最も大きな課題となっています。そのために女性社員のパイプラインを充足させる必要があり、候補者となる女性管理職を増やすためにも、全社の女性社員比率を上げる必要があります。そこで、当社は女性活躍推進に関する指標として、女性管理職比率と女性採用比率を掲げ、取り組みを進めています。

女性管理職比率の向上

当社における女性管理職比率の目標を短・中・長期で定め、取り組みを進めています。具体的には2024年度末までに7%、2030年度末までに15%に引き上げるという目標を掲げています。

これらの目標達成のためには、管理職を中心に、マネジメントやコミュニケーションにおけるダイバーシティに対する正しい理解促進をさらに深め、男性と比較すると低い傾向にある女性の課長職への登用率や登用スピードを、男女で揃えていくことが必要だと考えています。

そうした考えのもと、部長層や新任ライン長に対してアンコンシャスバイアスをテーマにした研修やワークを行うことで、育児期間中であっても、本人とのコミュニケーションの上でチャレンジの機会を与えることや、女性だけでなく育児期間中の男性にも適切な配慮が必要であるといった、正しい理解の浸透を進めています。その他にも、経営陣である人事担当役員や社外取締役による、女性活躍推進をテーマにした講演会の開催を実施しています。

女性採用比率の向上

女性社員比率の目標値について、総合職は2024年度、事務系40%以上、技術系25%以上を目標と定めています。新入社員の3割以上を女性にし、その比率を保持した人材パイプラインの構築を目指していきます。

また、基幹職は2024年10%という目標を掲げています。これは、主な採用対象の学科を履修した工業高校生や高専生の女性比率が1割程度であることから定めた目標値です。

これらの目標に向け採用活動において、女性にとって働きやすい環境であることや、活躍中の女性社員を積極的に紹介するなどしています。

女性活躍に向けたトップメッセージ

三井化学は事業ポートフォリオ変革によるビジネスモデルの転換を目指しています。消費者に近い市場へのアプローチには多様な価値観や感性に対する理解が求められるため、多様な人材が個性を失うことなく活躍できることが必要であり、女性の活躍の場は広がると考えています。また、従来からあったテレワーク制度がコロナ禍で積極的に利用されるようになっていることにより、育児や介護等の事情がある人にもより働きやすい環境が整ってきています。これは、女性の登用の門戸が広がるきっかけにもなると考えています。これからも有能な人材の採用・登用を促す施策に取り組んでいきます。

代表取締役 社長執行役員CEO 橋本 修

社外取締役メッセージ

三井化学がビジネスモデル転換・事業ポートフォリオ変革を通じ持続可能な社会への貢献、価値創造を行っていくために、「イノベーション」「変革」の源泉となる「ダイバーシティ」推進は必須です。
コアバリューの柱でもある「Diversity(多様性)」の本質的な価値を社内に浸透させ、組織能力をさらに飛躍させる。女性活躍推進はその第一歩であり、身近にあって進捗を見える化・モニターできるいわば「リトマス試験紙」のようなものと考えています。
当社の持続的成長の要となるこの経営課題にどう取り組み、それが中長期的事業成果にどうつながっているか…。
社外取締役として引き続き助言・監督していきます。

社外取締役 吉丸 由紀子

*三井化学では取締役会の多様性を確保する目的で、2006年より女性の取締役を1名以上置くよう努めています。

*役職等は掲載当時

女性社員比率(三井化学籍社員)

女性社員比率(三井化学籍社員)

※ 非財務KPIとして管理している女性管理職(課長級以上)比率は、再雇用等を含まない正社員のみで算出。

外国籍社員の活躍推進

三井化学は、日本で働く外国籍(日本国籍外)社員の採用を2005年に本格的に開始しました。人種や国籍に関わらず個人の能力が最大限に発揮できるよう、日本で働く外国籍社員に対し専用の相談窓口を設け、仕事と生活を支援するとともに、外国籍社員も働きやすい会社の実現と優秀な人材の確保を目指しています。

外国籍社員への支援の具体例

  • 日本語学習支援
  • ビザ手続き支援
  • 日常の問い合わせ対応(人事制度、施策、就業規則等社則に関する問い合わせ)
  • 日本で就労するにあたり必要な情報発信(英語、日本語)
  • インクルージョン勉強会実施(異文化理解促進)
  • 人事申請関連マニュアル英文版の整備
  • 外国籍社員職業生活相談への対応(各事業所に担当者を配置して実施)

障害者社員の活躍推進

三井化学は障害者雇用にあたって、法定雇用率の達成にとどまらず、障害者の方が組織の一員としての実感を持ち、スキルを積みながら生き生きと活躍できることを目指しています。配属時には、配属する職場の業務内容だけでなく環境も考慮し、その人に合った職場への配属を心掛けています。そして受け入れ職場に対しては「障害理解教育」を実施するとともに、採用後一定期間の「インキュベーション期間」(環境への適応・習熟支援期間)を設け、それぞれの障害特性にあわせてスムーズに業務を開始してもらうための工夫を行っています。また、定着支援を目的とした定期的な面談を行い、障害を持つ方と上司、双方から働く上での悩みや困りごとを聞き取ることで職場環境や働き方の改善に活かし、安心して働けるよう努めています。

さらに、語学やOAスキル等の業務遂行に役立つ学習に補助金を出し支援しており、個人の特性に合わせたスキルアップをサポートしています。

2023年度は精神・発達障害のある本社地区の障害者枠で就労している社員を対象に、ストレスを減らすコミュニケーションスキルを身につける目的で「アサーション」をテーマにした対面研修を実施しました。

イニシアティブへの参画

三井化学グループは2019年10月に、The Valuable 500の加盟文書に署名しました。The Valuable 500は、世界経済フォーラム年次総会において発足した、障害者の活躍推進に取り組むイニシアティブです。障害者がビジネス、社会、経済にもたらす潜在的な価値を発揮できるような改革をビジネスリーダーが起こすことを目的としています。

The Valuable 500

障害者雇用比率(三井化学籍社員)

障害のある社員の障害種別割合(三井化学籍社員)

※ 2023年6月1日時点。重度障害者を2倍とせず1人として計算。

従業員の声

「自分を磨くことのできる職場」

私の職場は、「業務を通じて自分自身の持つ強みを最大限に活かし、また自分自身に磨きをかけることのできる職場」だと感じています。社会人経験が無かったこともあり、入社当初は右も左も分からず、ただただ不安を抱えていましたが、周囲の方々に支えられて定着することが出来ました。
現在の業務は、経理業務の補助が主となっています。元々は理系の出身で、入社当初は会計のイロハも分かりませんでしたが、1年目より会計業務に携わり、座学だけでなく実務を重ねることで会計の知識を学ぶことが出来ました。そして、3年目にあたる2022年度には他社の方を交えたプロジェクト会議に参加できるようになり、業務に対するやりがいとともに、自分自身が業務を通して成長できていると感じています。
今後は、障害者雇用という枠組みに囚われず、向上心と積極性を持って業務に携わり、三井化学と共に自分も成長していきたいと思っています。

2020年度入社(発達障害)

定年退職社員の活躍推進

事業拡大と大量採用世代の退職にともなう人員不足に対応し、また定年後も高い就労意欲を持った社員を活用するため、定年退職者のうち希望する者に対しては再雇用制度による就労継続を推奨し、経験豊富なシニア人材の活用を進めています。2018年度より、再雇用時の報酬条件の改善を行い、就業継続希望者の拡大を目指しています。

LGBTQへの対応

三井化学グループ人権方針には、性的指向や性自認による差別を行わないことを謳っています。2021年に事業所横断プロジェクトを立ち上げて、当事者の働きやすさ向上の取り組み検討を開始し、現在の施策へとつながっています。初期のプロジェクトメンバーの多くが、各事業所LGBTQ窓口担当として取り組みを推進しています。

採用活動での性別の無回答

2020年11月にユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社が発表した「LUX Social Damage Care Project(ラックス ソーシャルダメージケア プロジェクト)」に賛同し、採用活動において性別の登録の無回答を可としています。

三井化学LGBTQアライ宣言と専用窓口の設置

性的マイノリティを理解する姿勢を示す「アライ(支援者)」を増やすことを目的とし、「三井化学LGBTQアライ宣言」を行っています。宣言は、LGBTQについて自ら積極的に理解しようと学び、当事者の方に寄り添いたいという思いがあることを示すものです。第一号として橋本社長がアライ宣言にサインしており、アライを増やす活動も進めています。

また、LGBTQに関するハラスメントやカミングアウトを受けた際の相談(相談にはカミングアウトをした本人の承諾が必要)、および制度利用に関する問い合わせなどの対応を目的とした、LGBTQ専用相談窓口を設置しています。

三井化学LGBTQアライ宣言と専用窓口の設置
三井化学LGBTQアライ宣言と専用窓口の設置

同性パートナーへの福利厚生適用

2022年10月より、従業員が同性パートナーを会社に届け出た場合、一部の休暇、休業ならびに福利厚生制度について同性パートナーを配偶者と同様の取り扱いとなるように適用開始しました。第二段階としては、2024年1月から弔慰金や共済会の一部適用が開始されています。

制度を利用しやすい風土作りのため、当事者の方が働きやすい環境の整備や施策の検討を進めています。

適用概要について

適用する社内制度

結婚・忌引・介護・看護 休暇

育児・介護休業

社宅貸与

弔慰金

共済会:家族弔慰金、出産支援金、育児援助金(短時間)、ホームヘルパー利用補助

適用範囲

三井化学籍社員(国内在勤者)

嘱託社員(有期、無期、再雇用)はそれぞれの制度の範囲に応じて適用

※ 制度の適用範囲は段階的に拡大していく予定です。

教育

  • ハラスメントをテーマとした教育(e-ラーニング)
    法令順守教育として、セクハラ、パワハラに加え、性的指向による差別や嫌がらせの禁止を盛り込んだ「ハラスメント」講座を実施。毎年全社員が受講しています。
  • SOGI(Sexual Orientation Gender Identity)ハラスメントをテーマとした職場ディスカッション
    法令順守の様々なテーマについて職場で議論をする「職場ディスカッション」の選択テーマの中にSOGI(Sexual Orientation Gender Identity)ハラスメントを盛り込んでいます。
  • 新任のライン長研修(ダイバーシティセミナー)
    「ダイバーシティセミナー」にて、SOGIに関するハラスメントや部下から相談を受けた際に取るべき行動についても、グループワークを通し教育しています。
  • LGBTQ窓口担当者向け研修
    各事業所の窓口担当者を対象に、外部講師(当事者)から実際に社員から相談を受けた場合のロールプレイを体験するなど実践的な教育を行っています。
  • 担当者向け教育
    2022年に一部福利厚生制度を同性パートナーに適用開始したことから、関連する申請類情報取扱者および社宅担当者に対し、LGBTQ理解促進について、また運用方法についての理解を深めるための教育を実施しています。

イニシアティブへの参画

当社は、性的マイノリティに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する一般社団法人 work with Prideが策定した、LGBTQ+などのセクシュアル・マイノリティへの取組を評価する「PRIDE指標」において、2024年度に初めて「ゴールド」認定を取得しました。

※ PRIDE指標:

一般社団法人 work with Prideによる、職場におけるLGBTQ+に関する取り組みを評価する日本初の指標です。 取り組みは「PRIDE」の各文字に合わせた5つの評価指標(Policy:行動宣言、Representation:当事者コミュニティ、Inspiration:啓発活動、Development:人事制度・プログラム、Engagement/Empowerment:社会貢献・渉外活動)に分類されます。

work with Pride

取り組み事例

2016年度トランスジェンダー当事者を招いた有志勉強会(本社地区)
2017年度国内関係会社ハラスメント相談窓口担当者のためのLGBT対応研修
2018年度トランスジェンダー当事者を招いた講演会
新任ライン長研修内でLGBTへの理解を促進する講義(これ以降毎年)
2019年度
性的マイノリティへの理解を促す目的の映画上映会
2020年度新入社員研修でLGBTについての講義(相談窓口の紹介等)
国内関係会社人事担当者対象改正労働施策総合推進法とSOGIハラについて学ぶ勉強会
全社部長、グループリーダー層(約450人)にSOGIハラ教育を実施
2021年度全社チームリーダー層(約430人)にSOGIハラ教育を実施
三井化学LGBTQアライ宣言開始
2022年度LGBTQ専用相談窓口を設置
同性パートナーへの福利厚生適用開始
2023年度プライド月間 本社ビル3社合同映画鑑賞&映画監督トークイベントを実施
LGBTQ当事者を招いた講演会を実施

ダイバーシティ推進に関連する研修、講演会

部長層アンコンシャスバイアス研修

女性社員の役員登用までを視野に入れたパイプラインを構築していくためには、幹部層がアンコンシャスバイアスを理解した上で管轄組織の課題に向き合うことが重要であるという考えにより、部長層にアンコンシャスバイアス研修を実施しています。本研修を開始して3年目となった2023年度は、アンコンシャスバイアスの影響を自職場ごとに深堀して考え、課題と方策を考えるワークショップ型研修を実施しました。また新任部長は研修に加え、自身のアンコンシャスバイアスに気づくためのe-ラーニングを受講しました。

新任ライン長研修でのダイバーシティセミナー

新たに部下を持つライン長に任命された全員が参加する「新任ライン長研修」ではライン長としての役割や必要なスキルを学び、職務意識の醸成を行います。その中の1科目として、ダイバーシティセミナーセミナーを実施しています。約2時間のセミナーには、組織にダイバーシティが必要理由や、アンコンシャスバイアスなどについて学ぶ講義を行う前半部分と、参加者同士がハラスメントをテーマに意見交換をするワークの後半部分があります。ワークではグループに分かれ、SOGIハラやパタハラについて部下からの相談があったことを想定し、上司としてどのように対応するかについて参加者同士相互の意見を聞きながら対応方法を学びます。

工場技術系女性基幹職研修

オペレーターとして工場で働く技術系の基幹職の女性を対象とし、他事業所の女性オペレーターとの交流や、キャリアを考える機会の提供を目的とした研修をおこなっています。2023年度は4年ぶりの対面研修を実施しています。現場で学ぶことを重視するため、今回は全国から名古屋工場に集結して開催しました。新たな取り組みとしては、工場幹部とキャリアや悩みについて対話するといったプログラムが追加され、活発な意見交換が行われました。引き続き課題解決につながる制度の検討や施策を進めていきます。

女性のキャリアと健康

毎月の生理やそれに伴うPMS、更年期障害など、女性は言い出しにくい体調不良を抱えながら働いていることがあります。女性自身でそれらに備え対策を打ったり、上司や同僚など周囲のサポートを受けることでキャリアを諦めることがないように、女性の健康を学ぶ機会を設けています。2023年度は、「年代別女性特有の不調」について、産婦人科医を講師にお迎えしてセミナーを実施しました。

  • 産婦人科・小児科オンライン健康相談サービスの導入
    2023年度より、生理痛、PMS、妊娠、更年期障害等、女性特有の悩みや、子どもの健康についてのオンライン相談サービスを導入しました。このサービスを活用することで、社員やその家族にとって、子どもや産婦人科に関わる健康問題に悩む時間、および心の負担を減らし、安心できる時間を創出することを目的としています。

女性登用を目的とした社外研修への派遣

当社は、管理職登用を目指す女性を対象とし、マネジメント能力やモチベーションの向上を図る社外研修を行う他、部長職・役員候補の女性を対象とし、経営学の習得や社外ネットワーク構築を目的とした社外研修を行っており、毎年計10~20名程度を派遣しています。社外の同クラスの女性ビジネスパーソンとの交流を通じ、ロールモデルとの出会いや自身のキャリアに対する意識の変革につながっています。

異文化理解促進

2014年度から多文化チームの運営のためスキルを学ぶことを目的とする「グローバルビジネススキル研修」を行っています。この研修は、海外赴任予定者や海外事業に従事する者のうち、多文化チームのマネジメントや多様な背景を持つ相手との交渉等、海外と深く関わる業務に従事する者を対象にしており、毎年約30名が受講しています。ビジネス上のコミュニケーションをテーマとした具体的なケーススタディを通して各国・地域の人々の宗教・文化・考え方とその背景について学んでいます。

インクルージョン勉強会

多様性を受け入れる組織風土の醸成を目的とした「インクルージョン勉強会」を開催し、障害者、人種・国籍上のマイノリティ、性的マイノリティ、異文化等についての理解を深めています。障害や病気を抱える社員が講師となり、障害や自身の経験について語る場を設けている他、社外有識者を招きオンラインで全国の事業所から参加者が集まって勉強会を行っています。

2023年度は、「難聴」や「視覚障害」について学ぶ機会を提供しました。視覚障害について学ぶ会では社内で働く視覚障害者3名が登壇し、一言で視覚障害者と言ってもそれぞれの見え方が違うことや、白杖や盲導犬について、また、適したサポートの仕方を話してもらいました。また、三井化学各事業所および関係会社の人事・総務担当者を対象に新しくトイレを設置する際に気を付けるべきことを学ぶ「オフィストイレセミナー」を実施し、世代やジェンダー、障害によるニーズの違いをトイレメーカー担当者から学びました。

マイノリティを理解しサポート法を学ぶことで、エクイティやインクルージョンへの理解を深め組織の多様性や従業員のエンゲージメントの向上に繋げています。

ダイバーシティをテーマにした研修 2023年度実績(のべ参加人数:計2,830人)

テーマ
講師対象
インクルージョン勉強会 「難聴について学ぶ」社外講師従業員
インクルージョン勉強会 「視覚障害者のリアル」社内講師従業員
アンコンシャスバイアス研修社外講師部長・研究所長・工場長
ノーベル賞研究から紐解く“男女の差”従業員
女性活躍推進(ダイバーシティ)研修事業本部ライン長
女性活躍推進(ダイバーシティ)研修生産技術部門幹部
ライン職対象 ダイバーシティを尊重した組織運営の理解社内講師新任ライン長
交替女性研修社外講師交替勤務の女性
プライド月間映画上映会社内外従業員
ロールモデルセミナー 5回シリーズ社内外講師従業員
トイレメーカーから学ぶオフィストイレセミナー社外講師総務・人事関係者
自分も、他者も大切にするコミュニケーション方法を学ぶ研修精神・発達障害のある従業員
LGBTQ理解浸透研修従業員
PCスキルアップセミナー(派遣型)障害のある従業員
父親学級従業員
男性育休ライン管理職研修管理職
仕事と介護の両立支援力向上研修管理職

Lean In Mitsui Chemicalsの活動

「リーダーシップに多様性を!」をミッションに掲げたLean Inサークルは、メンバーが90名を超え、設立3年目を迎えました。対話を通じて新たなスキルを学び練習する場を提供し、心理的安全性と守秘義務を確保しながら、メンバー同士のフラットなコミュニケーションを促進しています。月例セッションや特別企画では、事前に読書や動画視聴、自己分析などの課題を準備し、昼休みにオンラインで3~5人の少人数グループに分かれて対話を行っています。設立3年目の今年、新たに若い世代の2名をオーガナイザーに迎え、更なるパワーアップを目指しています。これまでの経験を基に、Lean Inの理念である「すべてのジェンダーの方が野心を持って、挑戦することができる社会の実現」に引き続き貢献し、これからもリーダーシップの育成と多様性の推進に取り組んでいきます。

月例セッション 月例セッション

HRISとPeople Analytics

ピープルアナリティクスの推進 

三井化学グループは、従業員エンゲージメント調査、所定外労働時間、コンピテンシー評価、採用データ等の様々な人事関連データを用いた組織の課題の見える化を進めています。これらのデータを活用し、統計的データ分析手法を用いて解決策の策定を行うことで、組織力の強化を目指しています。

これまでの取り組み事例

  • 従業員の生産性向上のための相関分析
    “労働生産性と所定時間外労働時間“や”コンピテンシーとパフォーマンス“の相関関係から、因果関係を推論し、従業員の生産性を高めるための仮説を導出、当該仮説の検証を行いました。
  • 従業員の生産性向上のためのISO30414の分析
    人的資本の観点から、ISO30414の11項目/58指標に関するデータ抽出・分析を進めており、当該指標に含まれる“生産性”において、従業員一人当たりEBIT/売上/利益、人的資本ROIを経年で内部モニタリングすることで、当社グループ従業員の生産性向上を目指しています。
  • AIを用いた採用時のバイアス排除
    AIを用いた探索的データ解析を用い、帰納的推論から生じるヒトが持ち得る各種バイアスを回避するため、客観的な採用判断指標を定量化し、採用プロセスの高度化を検討しました。

グループ統合型人材プラットフォーム(Workday HCM)の導入

三井化学グループは、人材戦略上の各種方策を効果的に推進することを目的に、2023年2月より米国ワークデイ社が提供するワークデイ ヒューマンキャピタルマネジメント(Workday HCM)を、グループ・グローバルで運用しています。

Workday HCMを用いてグループ内の組織・人材情報を一括管理することにより、グループ横断での適所適材の人材配置検討を進めながら、タイムリーで適切な情報開示を通じて、無形資産である人的資本の情報開示ニーズの高まりに応えていきます。さらに、グループ・グローバルでの社内に対するマネジメントからの情報発信や、ポジションや業務の可視化による自律的なキャリア開拓支援を実施していきます。

Workday HCMを活用した取り組み

  1. 同一プラットフォームでの管理による、各社で異なる既存のタレントマネジメントプロセス、およびグループ内の組織・社員情報等の、同一基準・データベースでの整理・マネジメント。
  2. Workday HCMが有するデジタルテクノロジーを駆使し、グループ社員一人ひとりにカスタマイズされた、適切なコミュニケーションスタイルによる、最適なコンテンツのタイムリーな提供。
  3. 事業ポートフォリオの変革を見据えたグループ・グローバルでの戦略的な要員計画策定、ピープルアナリティクスの推進強化。
  4. ステークホルダーの要求に応える、人的資本および人的資本への投資に関する積極的な情報開示。

本プラットフォームを活用し、事業ポートフォリオ変革に向け、グループ・グローバルでの人材戦略の実効性向上を、引き続き図ってまいります。

グループ統合型人材プラットフォーム(Workday HCM)の導入

人材情報

三井化学グループは長期経営計画をはじめとする事業戦略に基づきグローバルに事業を展開しており、それにともなう当社グループ従業員の状況についてモニタリングを行っています。

三井化学グループ社員数

2023年度末の当社グループの社員数は、2022年度から約930名増の19,681名です。うち、三井化学籍の社員数については192名増の7,265名です。2020年度と比較すると、三井化学籍社員は7%、グループ社員においても10%を超える増加となっており、事業ポートフォリオの変革に向けた国内外のM&Aの推進や、新たな事業領域に対応するための積極的な人材採用による増加が続いています

三井化学グループ社員数

三井化学グループセグメント別社員数

2023年度末の当社グループにおけるセグメント別社員数は、モビリティソリューションが6,221名と最も多く、次いでライフ&ヘルスケアソリューション、ICTソリューション事業領域となります。これらの成長3領域については、積極的な人材採用を行っていることに加え、旭化成(株)よりペリクル事業を引き継いだ三井化学ESM(株)、同社との不織布事業に関する共同新設分割によるエム・エーライフマテリアルズ(株)の設立等のM&Aによる増員も発生しています。

三井化学グループセグメント別社員数 2023年度
三井化学グループセグメント別社員数 2024年度

三井化学グループ地域別社員割合

当社グループにおける地域別社員割合については、長期経営計画における事業ポートフォリオ変革の進展、ソリューション型ビジネスモデルの構築にともない、グローバル化が進展してきました。特にこの10年間においては、欧米拠点の機能拡大に力を入れており、新たな市場開発および製販研の機能強化や新規ビジネスモデルの創出を目指しています。

2023年度末の当社グループにおける地域別社員の割合は、日本国内が多く約60%を占めており、前年度と比較してもほぼ横ばいとなっております。その他約40%が海外となり、内訳は、モビリティソリューション事業本部が所管するアークグループのエンジニアリング会社(ARRKエンジニアリング)やライフ&ヘルスケアソリューション事業本部が所管するKulzer GmbHの所在地である欧州地区が15.8%と最も多くなっております。また、それらの会社の社員数の増加にともない、前年度に比較し、同地区の社員比率も増加しました。加えて、東南アジア地域でもエム・エーライフマテリアルズ設立に伴うタイの不織布関連会社のグループ加入等により、昨年と比べやや比率が増加しています。

三井化学グループ地域別社員割合