当社グループのGHG排出量(Scope1+2)は、2024年度よりGHGプロトコルを参照して算定しています。2025年度のGHG排出量(Scope1+2)は、国内大型プラントの定修等で稼働率が低下したため、2024年度に比べて減少しました。また三井化学では、2007年度以降、省エネルギーによるGHG排出量削減目標を設定し、段階的な熱回収の強化や精製工程の効率化等、工場の徹底した省エネ活動を継続しています。2025年度も目標(前年度比2.5万t以上削減)を上回る4.1万tの削減を達成しました。
環境保全
GHG・エネルギー
三井化学グループは、気候変動対応方針において製造における低炭素化を掲げ、GHG排出量およびエネルギー消費量の削減に努めています。
* 気候変動に関する方針・戦略、TCFD提言への対応についてはこちらをご覧ください。
* 2025年度データについて第三者認証を取得予定です。その過程で数値に修正が生じる可能性があります。
GHG排出量(Scope1+2)
当社グループは、深刻化する環境問題とグローバルな脱炭素への要請の高まりを受け、2020年11月に2050年カーボンニュートラル宣言を発表し、さらなるGHG排出削減の拡大と加速を目指し、2021年6月に「グループグローバルのGHG排出量を2030年度までに40%削減する(2013年度比)」というグループ目標を設定しました。この目標達成に向け、低炭素原燃料への転換、高エネルギー効率機器の導入等による省エネ、再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組み、脱炭素社会の実現に努めていきます。
GHG排出量削減率(Scope1+2)(三井化学グループ)
* 2013年度比
* エチレン稼働率変動など一時的な影響を排除した補正排出量により算定
GHG排出量(Scope1、2)(三井化学グループ)
エネルギー消費量
三井化学のエネルギー消費については、省エネ法の努力目標であるエネルギー原単位 5年平均低減率1%以上を目指し、2025年度も様々な省エネルギー施策に取り組んだものの、国内大型プラントの定修等による低稼働の影響でエネルギー原単位の悪化を打ち消すことが出来ず、2025年度のエネルギー原単位5年平均低減率は2.1%に上昇しました。
一方で、省エネ法のベンチマーク目標(エチレン等製造設備におけるエチレン等の生産量当たりのエネルギー使用量11.9GJ/t以下)は2025年度も達成し、省エネ法の事業者クラス分け評価制度では、11年連続でSクラス(省エネが優良な事業者)を維持できる見込みです。
今後も、熱の有効利用や高エネルギー効率機器の導入等、省エネルギーに取り組んでいきます。
エネルギー消費量(三井化学グループ)
GHG排出量(Scope3)
原材料購入から顧客での使用、廃棄までのサプライチェーン全体でのGHG排出量を把握するため、自社の事業・生産活動にともなう排出であるScope1+2とあわせて、間接的な排出であるScope3についても算定しています。
これまで三井化学単体のScope3を算定・開示してきましたが、グループ全体のサプライチェーン上での環境負荷をより正確に把握し、評価・管理につなげるため、2023年度の実績分から算定対象を主要連結子会社へ拡大しました。2025年度は、排出量が多いカテゴリー1「購入した製品・サービス」を中心に、算定対象の連結子会社をさらに拡大しています。
今後も当社グループ全体の排出量を把握できるよう、算定対象のさらなる拡大と算定データの整備に取り組み、より広範なサプライチェーンの環境負荷を評価していきます。
GHG排出量(Scope3)
※ 2025年度実績では、Scope3の網羅性向上を目的としてカテゴリー1を中心に算定対象会社を拡大したことにより、約65万ton-CO2e増加しています。
GHG排出量(Scope3)の内訳(2025年度、三井化学グループ)
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| カテゴリー | 排出量 (千t CO2eq / 年) | 排出量の算定方法、算定対象外とした理由 |
|---|---|---|
| 1. 購入した製品・サービス | 9,516 | 排出係数 算定方法 前提条件・配分方法 等 |
| 2. 資本財 | 444 | 排出係数 算定方法 |
| 3. Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | 505 | 排出係数 AIST-IDEA v4.0 算定方法 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.8(2026.3)」 前提条件・配分方法 等 燃料、電気および蒸気購入量より算定。 |
| 4. 輸送・配送(上流) | 79 | 排出係数および算定方法 環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル Ver4.9(2023.4)」 前提条件・配分方法 等 輸送手段別の輸送重量および輸送距離および製品出荷量。 |
| 5. 事業から出る廃棄物 | 94 | 排出係数 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.6(2026.3)」 算定方法 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.8(2026.3)」 前提条件・配分方法 等 社外で処理した廃棄物の種類毎の処理量より算定。 |
| 6. 出張 | 2 | 排出係数 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.6(2026.3)」 算定方法 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.8(2026.3)」 前提条件・配分方法 等 社員数より算定。 |
| 7. 雇用者の通勤 | 8 | 排出係数 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.4(2026.3)」 算定方法 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.8(2026.3)」 前提条件・配分方法 等 社員数および勤務日数により算定。 |
| 8. リース資産(上流) | 算定対象外 | 当社のリース資産はScope1,2で算定済みのため、算定対象から除外。 |
| 9. 輸送・配送(下流) | 算定対象外 | 当社から顧客までの輸送(B to B)はカテゴリー4に含めている。また当社は素材産業のため、中間製品の比率が高く消費者までの流通を把握できない。従ってその輸送量を合理的に算定することは不可能であるため算定対象から除外。 |
| 10. 販売した製品の加工 | 算定対象外 | 当社は素材産業のため中間製品の比率が多く、顧客でも多数の潜在用途がある。そのバリューチェーン企業が行った加工内容や排出原単位のデータを顧客から収集することは難しい。また、現時点では二次データによって精度よく算定することは不可能であるため算定対象から除外。 |
| 11. 販売した製品の使用 | 125 | 排出係数および算定方法 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.8(2026.3)」 前提条件・配分方法 等 直接使用段階排出に該当する、尿素水・アドブルー®およびドライアイス用CO₂の販売量より算定。 |
| 12. 販売した製品の廃棄 | 6,065 | 排出係数 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.6(2026.3)」 算定方法 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.8(2026.3)」 前提条件・配分方法 等 直接使用段階排出に該当する製品の販売量より算定。 |
| 13. リース資産(下流) | 算定対象外 | 当社グル-プには当該資産が存在しないため算定対象から除外。 |
| 14. フランチャイズ | 算定対象外 | 当社グル-プにはフランチャイズが存在しないため算定対象から除外。 |
| 15. 投資 | 算定対象外 | 当社は投資事業や金融サービスを提供していないため、算定対象から除外。 |
| 計 | 16,838 |
高効率ガスタービンによる自家発電
三井化学は、大阪工場に高効率ガスタービン発電システムを設置し、2020年12月より営業運転を開始しました。本件は、経済産業省の「平成30年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」に採択され、Daigasエナジー株式会社と共同で実施しています。
本システムの稼働により、当社大阪工場の自家発電比率が向上するとともに、ガスタービン発電設備から発生する高温排ガスをエチレンプラントのナフサ分解炉の燃焼用空気として利用することで、分解炉の使用燃料を削減します。これにより、大阪工場から排出されるCO2が年間で約7万トン削減できます(2016年度比)。
LNG冷熱を利用した省エネルギープロセス
三井化学および関係会社の大阪石油化学(OPC)は、大阪ガス株式会社と共同で、エチレンプラントにおいてLNG冷熱を利用した省エネプロセスを導入しています。このプロセスは、エチレンプラントにおいて世界で初めて大規模にLNG冷熱を利用した省エネルギープロセスとして2010年10月から運用しています。
LNG(液化天然ガス)は、輸送、保管のために、気体である天然ガスを超低温(-160℃)に冷却することによって液体にしたもので、蒸発させて天然ガスに戻る際に周囲から熱を奪うことで冷却する能力(冷熱)を有しています。当社大阪工場内にあるOPCのエチレンプラントでは、ナフサ(粗製ガソリン)等を高温で熱分解した後、分解ガスを冷却することによりエチレン、プロピレンなどの基礎原料を分離精製しています。当社大阪工場に隣接する大阪ガス泉北製造所より、-160℃のLNGをOPCエチレンプラントに受け入れ、LNGが保有する冷熱を効率的に回収利用することにより、大幅なCO2削減を実現しました。
CO2固定化技術
三井化学は、財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の「CO2固定化プロジェクト(NEDO委託事業)」に参画し、共同研究成果としてメタノール合成の高活性触媒を開発しました。高活性触媒の改良を進め、2009年に当社大阪工場内で、CO2固定化技術のパイロット実証検証を行いました。これはメタノール換算100t/年の規模で、工場内から排出されたCO2を水素によりメタノールに変換する実証検証です。メタノールへの転換率および触媒ライフについて確認を行い、プロセスデータを含む各種データを取得し、技術パッケージ化も実施しました。水素源の確保やコストに課題があり実用化に至っていませんが、世界が目指す低炭素社会の実現に大きく貢献する技術であると考えています。
太陽光発電設備の導入
三井化学グループは、カーボンニュートラル戦略に基づく当社グループのGHG排出量削減の施策として再生可能エネルギーの導入を掲げています。2024年3月、PPA(Power Purchase Agreement)モデルを採用し、当社名古屋工場内の排水プラント跡地(約8,300m²)の遊休地に太陽光発電設備(発電容量950kW)を設置しました。PPAモデルでは、PPA事業者が発電設備を設置し、発電した電気を全量名古屋工場が買い取るシステムとなっています。当社グループは、今後も更なる再エネ電力比率向上に取り組んで参ります。
名古屋工場に設置された太陽光発電設備