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環境保全

生物多様性

三井化学グループは、製造・提供する製品のライフサイクル全体における、地球環境および生態系への悪影響の最小化を目指しています。
化学製品の製造では、電気・熱等のエネルギー消費によるGHG排出、製造での加熱・冷却・洗浄による水資源消費、排水からの水質汚染により、大気・水・土壌を介して生物多様性に影響を与える可能性があります。また、化学製品のライフサイクルにおける製造・使用・廃棄ステージでは、有害性のある化学物質および分解物の環境排出により、生物種の減少につながる可能性があります。
当社グループは、生物多様性の損失を防ぐため、気候変動の緩和資源循環の推進化学物質管理環境負荷物質の低減をはじめ、下記の取り組みを行い、「地球環境との調和」の実現を目指します。

生物多様性の保全に関する基本的な考え方

  • 自然と生物多様性の恵みに感謝し、環境保全が世界的に重要な課題であることを認識し、事業活動を行います。
  • 環境に配慮した材、製品、サービスの提供を通じて生物多様性保全に配慮し、広く社会に貢献します。
  • 生物多様性に関する国際的な取り決めを遵守します。
  • 国内外の地域、社内外の関係者と連携してサプライチェーンにおける影響に配慮し、生物多様性の保全に努めます。
  • 生物多様性の保全に向けて、ステークホルダーからも信頼される、社員による社会貢献活動を推進してまいります。

生物多様性リスクの評価

三井化学グループの生産活動と事業活動における環境負荷を減らすことが、生物多様性の保全につながると考え、化学物質管理、GHG排出削減、水資源管理などに取り組んでいます。

2017年度に、当社グループ生産拠点周辺の生態系の調査を実施しました。調査にはIBATを使用し、各生産拠点から半径3km以内に自然保護地域(世界自然遺産、IUCNカテゴリーI, II, III、ラムサール条約湿地)がないことを確認しました。2023年度にはWWFが公表しているBiodiversity Risk Filterを用いて、当社国内外グループ拠点の評価を行いました。当社が属する産業分類にてHigh以上となっている重要項目を対象とし、影響/依存項目ごとにリスク評価を行いました。その結果抽出された影響項目は汚染のみ、依存項目は地すべり、熱帯低気圧、メディアの精査の3つでした。今後はTNFDで示されているガイダンス等も踏まえ、評価方法の更新を行い、リスク評価の精度を上げていきます。

※ IBAT:
Integrated Biodiversity Assessment Tool。バードライフ・インターナショナル、コンサベーション・インターナショナル、IUCN(国際自然保護連合)、UNEP(国連環境計画)、WCMC(国際自然保全モニタリングセンター)との連名で開発された、自然保護に関する基礎データや最新情報にアクセスできるツール。

製品・サービスを通じた貢献

三井化学グループは、環境負荷低減に貢献する製品・サービスの開発に取り組んでいます。環境貢献価値を示すBlue Value®を設定し、「CO2を減らす」「資源を守る」「自然と共生する」ことに貢献する製品をBlue Value®製品として認定しています。VISION 2030では、KPIのひとつとしてBlue Value®製品の売上収益比率を掲げており、生物多様性の保全にもつながる製品群の拡大を目指しています。
また、社会課題視点のビジネスへの転換を強力に進めている当社グループでは、生物多様性に関連した社会課題についても着目し、課題解決に資する製品・サービスの提供を目指しています。

TOPICS:海洋生物の保全を目指した製品開発

三井化学は海水中に含まれるミネラルを最大75%配合した製品NAGORI®を開発しています。
この製品は、水不足という社会課題へのソリューションである海水淡水化技術が、その過程で排出される濃縮水によって珊瑚が死滅するという別の新たな課題を引き起こしてしまうトレードオフの側面があるという事実に着目し、この濃縮水に多量に含まれるミネラルを主原料とした製品開発ができないかという社員のアイデアから生まれました。
NAGORI®は、2018年度のグッドデザイン賞ベスト100にも選出され、審査員からも環境課題に対して革新的な化学技術を活用している点などが高く評価されました。

※ NAGORI®:
海のミネラルから生まれたイノベーティブ素材。三井化学が得意とするコンパウンド技術により、陶器のような熱伝導性と重量感、量産加工性を持たせることに成功。
将来的には、原料となるミネラルを海水淡水化の過程において廃棄される濃縮水を利活用することを見据えており、化学会社として環境性やSDGsにどのように取り組むべきか、真のサステナビリティに近づく未来社会のあり方を提示しています。

NAGORI® NAGORI®樹脂で作ったビアタンブラー

サプライチェーンにおける貢献

原材料の調達では購買方針に則り、環境負荷の少ない原材料、取引先の選定に努めています。また、持続可能な調達ガイドラインにも「生物多様性の保全」を盛り込み取引先にも生物多様性の保全に取り組むことを要請しています。物流工程では、モーダルシフトや共同物流など、環境負荷低減に取り組んでいます。また、顧客に対しては、製品の安全性情報を提供することで、顧客が製品を適切に取り扱い、環境への影響が最小限となるように努めています。

イニシアティブへの参加

生物多様性保全に繋がる社会活動

三井化学グループの各事業所において、生物多様性の保全に向けた環境づくりに取り組んでいます。

* 主な活動についてはこちらに掲載しています。

大牟田工場の保全活動

三井化学大牟田工場(福岡県)はその広大な敷地に東京ドーム1.2倍(約5.4ヘクタール)の保存樹林を持ち、持続性のある保全活動に取り組んでいます。2009年には自然環境の保全を重要な課題のひとつと位置づける大牟田市からの要請により、敷地内(高取山南側)の樹木森林の自然環境調査に協力しました。大牟田市自然環境調査研究会による調査では、当工場管理の樹木森林に、希少植物・生物などが生息していることが判明し、『大牟田市自然環境調査報告書』としてまとめられました。

調査で確認された希少野生生物(一例)

植物ハクチョウゲ
イヌカタヒバ
両生類ニホンアカガエル
昆虫類ベニツチカメムシ
調査で確認された希少野生生物(一例)

環境保全団体への寄付

三井化学の従業員の寄付基金「ちびっとワンコイン」から、海や川の環境保全活動を実施している環境NGO一般社団法人JEANへの寄付を2015年度より毎年行っています。