「フィジカルインターネット実現会議・化学品ワーキンググループ」が 化学品業界で初めて全国の危険物物流動態を可視化

2026.06.29

三井化学株式会社

経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」内に設置されている「化学品ワーキンググループ」(座長:流通経済大学 矢野裕児教授)は、参画する荷主企業から物流実績情報を集約することで、化学品業界で初めて全国の危険物物流動態を可視化しました。

「化学品ワーキンググループ」には、現在、荷主事業者、物流事業者を中心とする86企業・1大学、日本化学工業協会、石油化学工業協会、経済産業省・国土交通省・厚生労働省の関連各部署等が参加しており、三井化学株式会社は、三菱ケミカル株式会社、東ソー株式会社および東レ株式会社とともに事務局を務めています。

詳細につきましては、添付資料をご参照ください。


フィジカルインターネット実現会議

化学品ワーキンググループ

化学品業界で初めて全国の危険物物流動態を可視化

〜危険物輸送の中長期安定化に向け、荷主と物流事業者が一体始動〜

経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」※1内の化学品ワーキンググループ(以下、「化学品WG」)※2は、参加する荷主企業15社※3から各社の物流実績情報を同一の定義・粒度で集め、危険物有姿品(バルク以外の個包装品)の物流動態を、初めて全国規模で可視化しました。これにより、これまで把握が困難であった業界全体の物流構造が明らかになりました。これを受けて、荷主と物流事業者が一体となって危険物輸送の中長期安定化に向けた施策検討を開始しました。

プロジェクトの背景と目的

危険物の輸送・荷扱いは専門知識(関係法令、物性、トラブル時の対応方法等)や豊富な経験が求められます。近年のドライバー不足など物流環境変化の影響を受けやすく、化学品業界における危険物輸送の中長期的な安定確保は喫緊の課題となっています。これらの課題に対し、個社単独での対応には限界があり、業界全体での取り組みが求められてきました。しかしながら、これまで業界内の物流の実態を網羅的に把握することができず、優先して取り組むべき課題の整理や具体的な施策検討が進みにくい状況にありました。

このような背景を踏まえ、本プロジェクトでは主要な危険物荷主企業が連携し、各社の物流実績データを持ち寄ることで、全国規模で業界全体の物流構造を可視化し、実効性のある施策検討につなげることを目的としています。

プロジェクト概要

化学品WG参加荷主企業15社は、データ項目や定義を統一した上で、各社1年分の物流実績情報を提供しました。これらのデータを元に、化学品WG座長である流通経済大学 矢野裕児教授および福島大学 石川友保教授に分析・可視化を委託し、現状の物流構造を荷主間で共有しました。

また、今後も継続的に業界内での施策検討を進めるため、競合関係にある荷主間であっても共有可能な形にして、独占禁止法に配慮したデータ整備を実施しました。

可視化・分析で明らかになった構造

  1. 西日本から中京・東日本への輸送量が多い一方で、復路の貨物が少なく、輸送バランスに偏りがあることが明らかになりました。(図1)
図1:幹線輸送候補経路と輸送量 図1:幹線輸送候補経路と輸送量

*矢印の太さは輸送量を示す

  1. 全国の多くの市区町村において5社以上の荷主が個別に納品している実態が確認され、今後それらの複数荷主による共同保管や共同配送検討の余地があることがわかりました。(図2)
図2:着地市区町村別荷主数 図2:着地市区町村別荷主数

今後の取り組み

今回の可視化結果を踏まえ、輸送密度の低い(エリア面積に対して路線便の到着台数が少ない)東北・九州エリア(図3)、主要な需要地であり、かつ同エリア内の輸送が多い関西エリアを優先検討対象としました。今後は荷主と物流事業者あわせて計28社が連携し、物流事業者が主体的にリーダーシップを発揮して取り組みを推進するとともに、荷主と物流事業者が一体となって、各エリアにおける共同集配、共同保管、中継拠点の活用など、実装を前提とした物流スキームの設計・検証を進めてまいります。

また、標準パレットの活用や納品リードタイムの見直し、化学品物流情報標準ガイドライン※4の適用など、これまで化学品WGで取り組んできた施策もあわせて展開し、業界全体での中長期輸送安定化と共同物流を加速してまいります。

図3:路線便の到着台数 図3:路線便の到着台数

流通経済大学 矢野教授コメント:

本プロジェクトは、特定貨物の流動実態を業界全体で可視化し、新たな物流スキーム構築につなげていこうという画期的なものである。一般的には、貨物流動の実態把握をすることが難しいため、1企業あるいは数社のデータで議論される。業界全体を把握することによって、ある市区町村に向けて5社以上がばらばらに納品しているといった実態が浮かび上がっている。これをいかに束ねていくか、リードタイムの見直しといった物流条件変更を含めて今後共同化の可能性を検討していくことは、持続可能な物流システム構築に向けて大きな一歩といえる。


■ ご参考

以上

本件に関するお問い合せ先

三井化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部